清水建設と順天堂大学が建物の感染症対策のレベルを評価可能なサービスを開発:産業動向(1/2 ページ)
清水建設と順天堂大学は共同で、建物内の感染防止機能を評価する「感染リスクアセスメントツール(オフィス版Ver.1.0)」と感染症対策リスト「ソリューションマトリクス」を開発した。2021年5〜6月頃に両サービスの本格的な運用を開始する予定だ。
清水建設と順天堂大学は2021年2月19日、都内で記者発表会を開き、建物内の感染防止機能を評価する「感染リスクアセスメントツール(オフィス版Ver.1.0)」と感染症対策リスト「ソリューションマトリクス」を共同で開発したことを発表した。同日には、感染症対策が施された建築物「Pandemic Ready(パンデミックレディー)」の普及に向けた共同研究の契約を締結したことも明かした。
会場では、清水建設 設計本部 上席設計長 田中昭司氏と順天堂大学 大学院 医学研究科 感染制御科学 教授 堀賢氏が、感染リスクアセスメントツールとソリューションマトリクスについて紹介した。
感染症対策を評価可能な感染経路は4種類
冒頭、順天堂大学の堀氏は、「近年、世界中でこれまでにない新たな感染症が頻繁に発生している。こういった状況を踏まえて、順天堂大学と清水建設は、感染症の接触感染や飛沫感染、マイクロ飛沫(エアロゾル)感染、空気感染といった感染経路に対しての建物における対策を評価する感染リスクアセスメントツールとソリューションマトリクスを開発した」と両ソリューションの開発経緯を述べた。
感染リスクアセスメントツールは、専門のスタッフが専用のスコアリングシート「アセスメントシート」を用いて、対象施設の現地調査と管理者へのリサーチを行い、建物の感染症対策のレベルを点数で可視化するサービス。アセスメントシートでは、勤務形態や入退館管理、施設の構造、空調設備、換気能力、備品、清掃ルールなどにおける感染経路別の対策を1〜5点で評価できるようになっている。感染症対策を評価可能な感染経路は、接触感染や飛沫感染、マイクロ飛沫感染、空気感染の4種類。
清水建設の田中氏は、「アセスメントシートによる評価の考え方では、感染症への無対策が1点で、ガイドラインもしくは公的基準に準拠した対策は3点となり、感染リスクゼロの対策は5点で評する。一例を挙げると、手動のドアが1点で、素手を使用せずに肘などで開閉できるドアが3点となり、センサー式の自動ドアは5点の点数が付く」と説明した。
また、アセスメントシートで、建物の設備や構造などにおけるマイクロ飛沫感染の対策を評価するために、清水建設と順天同大学は、マスクをした対象者が咳をした時にマスク外へ飛散する吐息の気流と粒子を可視化する解析モデルを開発した。「この解析モデルは、通常のPCでも使えるように、マスク外に飛散する吐息と粒子を算出する方法を簡略化し、吐息の風速、温度、湿度、面積をある程度見える化するものに仕上げている」(田中氏)。
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