半自律で施工可能に、大成建設の床仕上げロボットが進化:情報化施工
大成建設は、2016年に同社が開発したコンクリート床仕上げロボット「T-iROBO Slab Finisher」の機能を拡張し、半自律制御操作を可能とするシステムを開発したと発表した。ロボットの常時操作が不要になり、オペレーター(土間工)の作業負荷を低減できるという。
コンクリート床仕上げをロボットが半自律運転で
大成建設は2017年10月、同社が開発したコンクリート床仕上げロボット「T-iROBO Slab Finisher」の機能を拡張し、筑波大学と共同で半自律制御操作を可能とするシステムを開発したと発表した。以前はオペレーター(土間工)による遠隔からの常時操作を必要としていたが、今回開発した半自律制御システムにより、施工中の自動運転が可能になる。
T-iROBO Slab Finisherは、2016年に大成建設が開発したコンクリート床仕上げ作業を行うロボット。多数の土間工を必要としていた手作業による床仕上げ作業の現場を、ロボットによって土間工の作業負荷軽減、作業の高効率化が達成できたという。
また、土間工が騎乗、操作するタイプの土間仕上げ用機械と比較してロボットは小型軽量なため、運搬や重量の問題で土間仕上げ用機械が適用できない現場でも、ロボットによる施工が可能になったとする。
しかし、これまでの場合ロボット本体は、オペレーターの役割を担う土間工が常時コントローラーで操作を行う必要があった。今回開発した半自律制御システムは、こうした操作を半自動化することができ、より効率的な運用が可能になるという。
半自律制御システムを利用した操作方法は2種類ある。1つが、事前に走行範囲を指定する方式だ。事前にオペレーターがコントローラーでロボットを走行させ、施工範囲を指定する。すると、範囲の指定終了後にロボットの内蔵コンピュータが指定範囲内における走行ルートを解析し、そのルート上を自動で繰り返し走行して床仕上げ作業を行うことができる。施工範囲に障害物がほとんどない、単純な平面形状の工場や、オフィスなどでの床仕上げ作業に適した操作方法という。
もう1つが、走行ルートを指定する方式だ。こちらは初めにオペレーターがコントローラーでロボットを操作し、走行ルートを決める。すると、2回目以降は、ロボットがそのルートを繰り返したどりながら自動走行して作業を行う仕組みだ。施工範囲内の障害物を回避しなければならない複雑な平面形状の建物地下部や、倉庫などでの床仕上げ作業に適した方法という。
大成建設は、本システムが搭載されたロボットを床仕上げ作業を実施する現場に広く展開し、作業の省力化、労働環境の改善を図っていくとしている。
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