住友林業が欧州初進出、英国で木造6階建て環境配慮型オフィスの開発事業に参画:プロジェクト
住友林業は、英国の不動産開発業者Bywater Propertiesと合弁会社を設立し、ロンドンで木造6階建ての環境配慮型オフィス開発事業「Paradise プロジェクト」に参画する。なお、住友林業が住宅・不動産事業で欧州に進出することや英国に現地法人を設立するのは初だという。
住友林業は、英国の不動産開発業者Bywater Propertiesと合弁会社を設立し、ロンドンで木造6階建ての環境配慮型オフィス開発事業「Paradise プロジェクト」に参画することを2022年2月14日に発表した。
総事業費は約4800万ポンド
Paradise プロジェクトでは、建物建築時(建材の原材料調達や製造、建築、解体といった過程)の炭素排出量(エンボディード・カーボン)を英国で一般的なRC造と比較して約80%削減するだけでなく、木材の炭素固定量をオフセットし竣工時点でカーボンネガティブとなると試算されている。
建物の炭素計算では、英国の建築物環境性能評価基準(BS EN15978)に準拠し、建物を解体後も木材を再利用できる設計である点や使用木材が持続可能な森林から調達されている点を条件に、建物の生涯炭素排出量から木材炭素固定量を差し引けるとしている。
上記の考え方は、英国王立勅許鑑定士協会(RICS)と英国グリーンビルディング評議会(UKGBC)でも、炭素排出量と炭素固定量を個別に表示することを条件に認められている。
さらに、先進的な低炭素建築計画が評価され、「New London Award 2020」や「World Architecture Festival Award 2021」を受賞している他、環境認証の「BREEAM」、健康配慮型オフィス認証の「WELL」、スマートビルディング認証の「WIRED SCORE」で最高レベルを取得する見込みだ。
開発地は、ロンドン市内で再開発が進むテムズ川南岸のエリアに立地する。周辺では、オフィスや集合住宅、物流施設の開発が進み、アップルの英国本社ビルや米国大使館の移転先となったBattersea・Vauxhall地区があり、ロンドンで年間利用者数が最大の「Waterloo」駅を中心に新規開発が拡大している。テムズ川北岸で政府系オフィス(情報保安部 MI5、内務省、司法省、運輸省、教育省、産業戦略省など)が集まるWestminster地区も近い。
建物は、省エネと創エネの仕様とし、再生可能エネルギーの利用も組み合わせて、建物使用時の炭素排出量(オペレーショナル・カーボン)を加算しても約60年間ネットゼロカーボンを実現する。総事業費は約4800万ポンド(約74億8800万円、2022年2月10日時点のレートで換算)で2024年の完成を目指す。
具体的には、高遮熱性能の外壁や日射を防ぐブラインド、太陽光発電設備を搭載するとともに、エレベーター減速時に生み出される電力の再利用を予定している。
また、建物内部の梁(はり)、柱、天井では、木肌を露出させ、木の雰囲気やぬくもりを演出し、隣接する公園の空気を吸気して、室内空気を線路側に排気する換気システムを導入する他、開放感のある天井高を確保し、快適な職場環境を提供する。
完成後は、ロンドン市内の主要路線に面したランドマーク的な木造建築物となり、注目度の高さから既に慈善団体や大学、医療機関から入居の問い合わせを受けている。
建物の概要
建物は、木造地上6階建てで、建物面積は7445平方メートル。所在地はロンドン ランベス地区、着工は2022年9月で、竣工は2024年4月を予定している。
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