東急建設が設計BIMデータを基に積算業務を効率化するシステムを開発:BIM
東急建設は、設計BIMデータと積算のシステム「東急版Tetra21」を連携させたプロトタイプシステム「建築BIM積算(精算見積)連携システム」を開発した。今後は、システムの実証・修正を経て、2022年10月には、建築工事での積算と連携するBIMアプリケーションの本格運用を開始する見通しだ。
東急建設は、設計BIMデータと積算のシステム「東急版Tetra21」を連携させたプロトタイプシステム「建築BIM積算(精算見積※1)連携システム」を開発したことを2022年4月21日に発表した。
※1 精算見積:建築工事と設備工事の見積案件管理、見積書作成、実行予算作成、見積データ受け渡し、見積精査等をシームレスに運用できる建設業向けの見積積算システムをカスタマイズしたもの。
積算業務で数量拾いから集計までの時間を約70%削減
建築BIM積算(精算見積)連携システムの建築BIM積算(精算見積)連携では、設計BIMデータが持つ属性や工事項目・コードなどを統合しデータベース化することで積算数量を自動的に算出し、精算見積の明細を作成する。
これにより積算業務の省力化だけでなく、変更時のコスト算出が容易に行えるようになり、精度の高い建設コストの見積をハイスピードで顧客へ提案できる。なお、積算業務の省力化では、現状の作業(数量拾い〜集計)時間が70%程度削減されることが判明している。
今回のシステムでは、2020年9月に開発をスタートし、「建築BIMのデータ、モデル分析」「システム開発」「テスト運用」を経て、2022年3月にプロトタイプである連携データ作成システムが完成した。今後、テスト運用や調整を行い、2022年10月に本格運用を行う予定だ。
東急建設では、他社に先駆けてBIMによる積算連携の実用化を果たすことで、システムの社内利用だけではなく、他社への積算コンサルやBIMコンサルなどの展開を実施し、BIMデータの取り扱いに関して、標準構築のリーダーシップを目指す。
加えて、長期経営計画で「競争優位の源泉」の1つとして掲げている「デジタル技術」領域で、BIMプラットフォームの構築により建築事業のデジタルシフトを加速させていく見通しだ。
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