都初の“Park-PFI”で「代々木公園」の解体工事に着手、2024年春に3階建て公園施設が開業:プロジェクト
東京都として初めて実施する「都市公園法に基づく公募設置管理制度(Park-PFI)事業」で、東急不動産ら4社が事業者に認定された代々木公園の整備事業が始動した。
東急不動産を代表企業に、東急、石勝エクステリア、東急コミュニティーで構成されたコンソーシアムは、東京都初となる「都市公園法に基づく公募設置管理制度(Park-PFI)事業」で認定された東京・渋谷区の「代々木公園整備・管理運営事業」で、2024年春の供用開始を目指し、2022年5月9日に既存建物の解体工事に着手した。
計画では渋谷と原宿を公園で有機的につなぐ
公募設置管理制度(Park-PFI)とは、都市公園内で飲食店や売店など公園利用者の利便性向上に資する公園施設(公募対象公園施設)の設置と、その施設から得られる収益を生かして、周辺の園路や広場などの公園施設(特定公園施設)の整備を一体的に行う民間事業者を公募により選定する都市公園法で定められている制度。
代々木公園整備・管理運営事業はこれまでに、明治公園の事業と同時に公募を開始し、計画を提出した3社のうち、東急不動産ら4社が2022年1月25日付で認定され、3月31日には東京都と実施協定を締結。5月9日に解体工事に入り、2023年4月をめどに新築工事に着工し、2024年のオープンを予定している。
計画では、渋谷区内のPark-PFI事業「北谷公園」を手掛けた東急グループのノウハウを生かして、緑あふれる既存の代々木公園やこれまでもさまざまなムーブメントが生まれてきた渋谷・原宿に隣接する立地特性を踏まえ、憩いの緑と活動の場という物質的な価値を提供。さらに、来園者が互いに影響し、感性を刺激し合う多様な舞台を整備することで、来園者が自分らしく輝く公園づくりを標ぼうする。
事業対象地は、渋谷と原宿を結ぶファイヤー通りの中間地点で、周辺には代々木公園・国立代々木競技場、NHK放送センター、渋谷公会堂(LINE CUBE SHIBUYA)など、国内外から多様な人々が集まるエリアの中心に位置する。現在までに東急グループが街づくりを進めてきた渋谷駅周辺や広域渋谷圏で、Park-PFI制度を活用することにより、公園の持つ公共性と人々の自己表現や交流の場を掛け合わせた新たな社会的価値を創出することを構想している。
整備事業のテーマは「都市と公園を繋(つな)ぐ」で、緑の憩いとイベントなどの賑(にぎ)わいが感じられる公園として、代々木公園と渋谷・原宿エリアを有機的に連結させる。緑化計画でも、代々木公園と緑の連続性を意識したランドスケープで、自然環境と都心の街並みの調和を図る。
また、渋谷・原宿のカルチャー表現の場として、公園内にはスケートボードを利用できる約350平方メートルの「アーバンスポーツパーク」、公園中央には約330平方メートルのイベント用「にぎわい広場」、約100平方メートルの野外ステージなど、広場やテラスを配備する。
公募対象公園施設は、S造(一部RC造)地下1階・地上3階建て、延べ床面積約2500平方メートルの規模を見込む。計画段階では、1階には公園の緑の中で多様な食を楽しめる「フードホール」を設け、2階にはカフェやショップ、3階には代々木公園でのランニングをサポートする「ランニングステーション」や多世代健康増進スタジオを設置。屋上は菜園やバーベキューが楽しめるスペースとする予定。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- プロジェクト:広島市中心部の顔となる市民公園「NEW HIROSHIMA GATEPARK」が着工、大成建設ら
旧広島市民球場跡地整備等事業認定計画提出者は、旧広島市民球場跡地整備等事業の一環として、広島県広島市中区基町5 番地(中央公園の一部)で、商業施設とオープンスペースの工事に着手したことを2022年4月11日に発表した。なお、供用開始は、2023年3月末を予定している。 - 建設現場を“可視化”する「センサー技術」の進化と建設テックへの道のり(4):【最終回】画像認識技術の応用が建設現場を進化させる!
本連載では、日立ソリューションズの建設ICTエバンジェリストが、建設業界でのセンサー技術の可能性について、各回で技術テーマを設定して、建設テック(ConTech)実現までの道のりを分かりやすく解説していきます。最終回の第4回は、画像データを活用した画像認識技術とセンサー技術について、建設業界での活用例も交えて紹介します。 - プロジェクト:東京都北区で延べ8万m2の地上39階建てタワマンの開発に着手、東急不動産ら
東急不動産と日鉄興和不動産は、東京都北区上十条二丁目で高層タワーマンション「THE TOWER JUJO」の開発を進めている。 - デジタルファブリケーション:“匠の技×デジタル技術”で傑作建築を移築、前田建設のロボットで破風板復原
前田建設工業は、東京・白金台の名建築「旧渡辺甚吉邸」を3Dスキャナーや360度カメラ、ロボットアーム加工機といったデジタル技術と職人の伝統技法を駆使して、ICI総合センターに移設した。 - BAS:日機装の深紫外線LEDによる水除菌技術が、三菱地所ホームの全館空調システムに採用
日機装が開発した深紫外線LEDを用いた水除菌モジュール「PearlAqua」が、三菱地所ホームの全館空調システム「エアロテック」の加湿システムに採用された。PearlAquaは、加湿に使用する水を深紫外線で除菌することにより、清潔な水で安全性に配慮した加湿が実現する。 - プロジェクト:「東京」駅の八重洲口前で延べ2.1万m2のバスターミナルを開発、UR都市機構ら
都市再生機構と京王電鉄バスは、東京都千代田区に位置する「東京」駅の八重洲口前で段階的に整備を進めている「(仮称)八重洲バスターミナル」の名称を「東京ミッドタウン八重洲」に決定したことを公表した。 - プロジェクト:屋上に8種類の花火大会を望めるテラスを設ける分譲マンション、大和ハウス工業ら
大和ハウス工業と総合地所は、東京都江戸川区で開発を進める分譲マンション「プレミスト新小岩ルネ」を2022年3月5日に発売した。