気流を可視化し室内の不快感を低減する気流制御技術を開発、三菱電機:製品動向(2/2 ページ)
三菱電機は、室内における空気の流れ(気流)や温度分布を予測して快適な室内環境を実現する「ビル向け快適気流制御技術」を開発し、同社が神奈川県鎌倉市大船で保有するZEB関連技術実証棟「SUSTIE」で気流制御技術を用いた暖房試験を行い、有効性を確認した。今後は、さらなる効果検証のために、今回の実証実験とは異なる条件でも評価を行い、2024年度以降の実用化に向けて開発を進める。
BIMデータから自動的に部屋の形状や室内機、給排気口の位置情報を収集
気流を可視化するソフトウェアは、ビルオーナーや設計事務所に対し、適切な室内環境の構築に向けたソリューションの提案に使え、従来のモデル作成作業を省力化し、条件設定から結果表示までの作業が容易で、結果を直感的に分かりやすく可視化して表示する。
具体的には、対象の部屋をイメージしたBIMデータから自動的に部屋の形状や室内機、給排気口の位置情報を収集し、気流解析に必要な3次元の室内モデルを自動で構築する他、什(じゅう)器の追加、室内機や給排気口の位置変更を画面上で簡単に行える。
さらに、三菱電機製の空調機や換気装置の型番もデータベースから選択して入力可能なだけでなく、解析結果は2つのパターンを比較表示し、気流の流れがアニメーションで表示される。同時に、温度分布、CO2濃度、給気口から流入した空気の到達時間といったいずれかを、値に応じて色付けするコンター図で表示する。
これにより、気流解析に関する専門知識がなくても容易に設定が行え、室内機の風量や台数、配置といったシステムと機種によって異なる性能の違いを室内環境の差異として分かりやすく見える化することで、ソリューション提案の支援を行うソフトウェアとして使える。
今後は、三菱電機内での試験使用とビルオーナーや設計事務所などへのヒアリングを行うことでソフトウェアの改良を進め、ソリューション提案用支援ツールとしての利便性向上を図る。
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