廃棄物ゼロを目指した新たな屋上緑化システム、東急建設ら:産業動向
東急建設は、東急リニューアルとともに、廃棄物を再資源化したセラミックスパネルを用いた「リサイクル屋上緑化システム」を共同開発した。今後、両社では、これまで提供していた「クラピア屋上緑化」に加えて、環境に配慮したリサイクル屋上緑化システムの販売を進めていく。
東急建設は、東急リニューアルとともに、廃棄物を再資源化したセラミックスパネル※1を活用した「リサイクル屋上緑化システム」を共同開発したことを2022年3月28日に発表した。
※1 セラミックスパネル:染色排水の浄化過程で発生し廃棄物として処分されていた余剰バイオマスケイクを、能登産の珪藻土(けいそうど)や粘土と混ぜ合わせ1000度以上の高温で焼き上げることで、植物の生育に適した機能を持つ超微多孔スポンジ状セラミックス基盤である保水セラミックスパネル(トーケンの商品)。内部に連続した細かい孔がびっしりと詰まったスポンジのような構造なので、吸水性や保水性に優れ、雨水だけで植物を種から育てられる。しかも無機質・無害の素材で最後は土に戻せる。
保水排水層にリサイクル材であるセラミックスパネルを活用
リサイクル屋上緑化システムは、東急リニューアルが既に販売している屋上緑化システム「クラピア屋上緑化※2」の基盤にリサイクル材を活用することで、廃棄物の削減を実現する。
※2 クラピア屋上緑化:東急リニューアルで販売しているクラピアを用いた屋上緑化システム。クラピアとは、イワダレソウを品種改良した植物で、茎葉が密に広がるため雑草も生えづらく、メンテナンスコストを減らせる。基盤の厚さも約100ミリで構成するため、軽量化に対応し、建物への積載荷重も削減する。
具体的には、通常の屋上緑化システムでは、植栽基盤の保水排水層としてプラスチック系の材料が使用されるが、リサイクル屋上緑化システムでは、脱炭素や循環型経済への取り組みとして、保水排水層にリサイクル材であるセラミックスパネルを活用している。利用しているセラミックスパネルは、内部に細かい空洞があるため高い保水性があり、植栽の保水基盤としても最適で、利用後は土に戻せる。
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