LPガスの検針作業をサブスク化、2030年度までに100万件を目指すパナソニックの「自動検針・集中監視サービス事業」:IoT設備(1/3 ページ)
パナソニックが、LPガス事業者向けに提供する「自動検針・集中監視サービス」は、使用量の自動検針に代表される数々の機能から成る。設置するIoTメーターによって、リアルタイムで使用状況のモニタリングや供給遮断/回復などが行えるのが特徴だ。利用料は住宅数に応じたサブスクリプションで、住宅1件あたり月額300円の安さを武器に、2030年度には100万件にまで市場拡大を目指す。
パナソニック エレクトリックワークス社 スマートエネルギーシステム事業部は、ガスメーターに搭載するデバイスや家庭用燃料電池などの各種製品の開発から、生産、販売までを一貫して手掛けている。幅広い事業のなかでも、ガスメーター検針に着目し、今後注力する自動検針・集中監視サービスについて、2022年3月10日に同社の奈良工場で説明会を開催した。
自動検針・集中監視サービスは、これまでスマートエネルギーシステム事業部が培ってきたメータセンシングや無線通信などの技術を応用し、遠隔での検針や状態把握などを実現するパッケージで提供する新規事業。
機器設置から、回線費用、保守までを提供する自動検針・集中監視サービス
ここ最近、ガスや電気などを提供する大手のエネルギー事業者では、通信機能を備えたメーターによって、月ごとの使用量やリアルタイムの利用状況をモニタリングするシステムをいかにして整備するかが求められている。しかし、地域に密着して規模も小さいLPガス事業者は、導入費用や保守などの面から、独自にモニタリングのシステムを整えるのは現実的ではない。
一般的に、ガスボンベで住宅に供給されるLPガスは、定期的にボンベを交換しなくてはならない。そのため、残量や使用状況の把握が必要だが、実態としては自動検針の導入は進んではいない。
そこで、パナソニック エレクトリックワークス社は、こうした悩みを抱えるLPガス事業者を対象に、IoTガスメーターを使ったクラウド型の自動検針・集中監視サービスを展開している。料金は、住宅1軒あたりの月額固定で、機器の代金や設置費用、回線利用料、メンテナンス料などが含まれるため、導入にあたって初期投資も掛からない。
IoTメーターを利用して集中監視システムを構築するには、対応するガスメーターの他にもさまざまな機器やシステムが必要になる。例えば、データ収集を行う通信網やデータを蓄積または処理するサーバ環境は必須。ほかにも、IoTメーターの設置工事や運用に際しての保守、水害や落雷などの災害に対する人的なサポート体制も、スピーディーな導入と安定したサービスには欠かせない。
自動検針・集中監視サービスの特徴は、運用に必要となる各種サービスをパッケージとして提供しているところにある。しかも、費用は住宅数に応じた月額制。このため、ガス事業者は、自前で用意するのに比べ、自動検針の導入ハードルを大幅に下げられる。
パナソニック エレクトリックワークス社 スマートエネルギーシステム事業部 ビジネスソリューション部 BS3課 岸川成行氏氏は、定額制の料金について、「初期投資が不要なだけでなく、投資の効果を同時期に得られる“同時期回収型のビジネスモデル”」と説明した。
ガスの自動検針システムに限らないが、一般的にIoTサービスを自社で整備するとなると、多額のイニシャルコストを要する。また、運用が進む過程でも部品や電池などを交換しなければならない。パナソニックのクラウド型集中監視サービスでは、こうした保守費用も含まれている。
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