オープンデータを用いた公共施設アセットマネジメント支援システムを開発、鹿島建設ら:ICT
鹿島建設は、グループ会社のアバンアソシエイツなどとともに、地方自治体の公共施設アセットマネジメントを支援する分析システム「KCITY-M」を開発した。今後は、KCITY-Mを活用して、公共施設の維持・再編や防災・BCP対策など、地方自治体への支援サービスを展開し、地域社会の課題解決に貢献していく。
鹿島建設は、グループ会社のアバンアソシエイツやイー・アール・エス、カジマアイシーティとともに、地方自治体の公共施設アセットマネジメントを支援する分析システム「KCITY-M」を開発したことを2022年3月14日に発表した。
施設の総合的な特性や想定される対策の優先順位を見える化
国内の公共施設では、老朽化による維持費用の増大や厳しい財政が問題となっており、解決策として、政府により、コストカットを目的とした「公共施設等総合管理計画」「同個別施設計画」の策定が自治体に義務化されている。一方、防災対策やコミュニティー継続の拠点として重要な役割が期待されている。
こういった状況を踏まえて、鹿島建設グループでは、公共施設の維持・再編と地域の課題を解消することを目指し、全国に点在する各自治体の特性に応じ、データ分析で必要となるデータを迅速に提供でき、住民との合意形成に役立つツールの創出を進め、その一環としてKCITY-Mを開発した。
KCITY-Mでは、対象自治体に関する政府や民間、研究所などのオープンデータを集約するとともに、集会施設、図書館、学校などの施設タイプ別に公開情報を整理して、「地域防災」「将来人口・まちづくり」「各施設のマネジメント」といったカテゴリーの分析・シミュレーションに対応する。
さらに、総合分析では、評価指標の重み付けを自治体の状況に応じて調整しつつ、全体最適の視点に立って、施設の総合的な特性や想定される対策の優先順位を見える化して提供することが可能。
今後、鹿島建設は、公共施設の維持・再編方策の立案、防災・BCP対策といった地方自治体への支援サービスとしてKCITY-Mを展開するだけでなく、公共施設包括管理やインフラ維持管理などの合理的な関連サービスをリリースし、地域社会の課題解決に貢献していく。
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