mixpace×BIM 360のセミナーレポート、連携機能や関東地整などのAR活用事例:XR(3/3 ページ)
ホロラボが開発し、SB C&Sが販売するBIMモデルを手軽にAR/MR化する「mixpace」と、クラウドサービス「BIM 360」が連携した。双方の連携により、BIM 360上で管理するBIMモデルをシームレスにAR/MRデータへと変換できるようになる。その詳細な機能について、2021年11月に開催されたオンライン製品説明会を通してレポートする。
BIM 360との連携で何ができるか?
ホロラボ 久保山宏氏は、製品説明会のメインテーマとなるBIM360との連携機能の紹介した。これまではBIM 360で管理されているBIMモデルをmixpaceでAR/MR化する場合は、PCにいったんデータをダウンロードした上で、mixpaceに再アップロードし直して変換する必要があった。しかし、連携機能により、BIM 360内のBIMモデルを直接mixpaceに取り込み、そのままAR/MRに活用できるようになった。
BIM 360連携の操作は、Webアプリ画面メニューのBIM 360データ連携アイコンから始まるが、その前に1つだけ設定が必要となる。BIM 360の管理者に依頼して、カスタム統合機能でmixpaceとBIM 360の接続準備と初期設定をしてもらう必要がある。設定完了後はBIM 360データ連携画面の「Autodeskサインイン」ボタンからAutodeskアカウントでサインインして連携許可を出せば、BIM 360とmixpaceがつながり、mixpaceの画面からBIM 360内のフォルダを見られるようになる。その後、変換したいデータとビューを決めてチェックボックスにチェックを入れ、収納先のプロジェクトを選び「コンバートする」ボタンを押せば変換が始まる。
BIM 360連携機能とは、「業務フローの延長線上でAR/MRが活用しやすくなる」という機能であり、そこに多くのメリットが生まれる。例えば、BIM 360で管理されているBIMモデルをダウンロードせずに直接mixpaceに取り込めることが1つ。
ほかにも、アクセスできるフォルダはBIM 360上の権限が引き継がれるため、新たに閲覧などの権限設定が不要な点もある。さらに、連携を用いて直接BIMモデルを取り込んで変換すると、通常は上限月100回の変換回数にもカウントされず、mixpace Remote Renderingを併用すれば、超重量級のBIMモデルでもダイレクトにBIM 360から取り込んで容易にAR/MR表示できる。
共通データ環境(CDE)としてのACC/BIM 360
最後に登場したオートデスク 石川翔平氏のセッションでは、Autodeskが目指すプラットフォームとしてのAutodesk Construction Cloud(以下 ACC)とBIM 360に関する解説となった。
石川氏によれば、Autodeskにとっての「プラットフォーム」とは、同社のサービスを利用するユーザーに、ソフトウェアを超えた利便性を提供するためのものと位置付けている。建設業界向けには、ACCやBIM 360が相当する。「mixpaceと連携したことでBIM 360のプラットフォームは一段と高度化した」と石川氏は指摘する。なぜなら、連携によって、多くのユーザーが、いわゆるコミュニケーションコストを大きく削減できるからだ。
BIM 360連携前のmixpace運用では、BIMデータのやりとりで、「どのRevitデータを渡せば良いか?」「見たい現場の情報はどのRevitデータにあるのか?」といったコミュニケーション上の問題から、無駄なコミュニケーションコストが発生していた。だが、BIM 360のような壁の無い共通データ環境(CDE)により、データ制作者は作ったデータをCDE上に保管するだけで、データ利用者はCDEから目的のデータをそのまま取り出せる。直接データファイルのやりとりが可能になることで、手間も大きく削減される。「誰もが必要な時に必要なデータにアクセスできる環境が整うことで、今まで浪費していた時間が解消され、個々の仕事に集中できるようになる。これがCDEの最大魅力」(石川氏)。
では、Autodeskが目指すプラットフォーム(CDE)は具体的にどのようなものなのか。石川氏によれば、単にBIMモデルや図面データなどのデータファイルを集約するだけでなく、プロジェクトに関するより多様な情報を蓄積する基盤に他ならないという。そこでは、どんな人が参加し、いつ始まりいつ終わるのか、総工費はどれほどで、各工程ではどんなことが行われるのかといった幅広く詳細にわたる情報が一元的に管理される。そして、建物や設備を表現するためのデータファイルを関係者間でフラットに取り扱えるようにデータベース化した共通基盤こそがAutodeskの掲げるプラットフォームなのである。
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