AIGIDが地下埋設物を3Dで可視化、地下工事に伴う埋設照会や立ち合いを省力化:GIS
AIGIDは、国土交通省のオープンデータ「国土交通データプラットフォーム」と、自治体広域エリア(千葉県柏市、静岡県三島市、大阪府富田林市)を対象に地下埋設物の3Dデータを可視化する実証実験を行った。
社会基盤情報流通推進協議会(AIGID)は2022年3月30日、「国土交通データプラットフォーム」と地下埋設物データの連携を検討するため、県や事業者などと実証実験と検討会を実施したことを公表した。
地下埋設物データの3次元モデルを利活用することで、地下設備作業に伴う埋設照会や立ち合い業務の省力化が求められている。各種業務の省力化により、地下工事の共同施工件数が増加することで、生産性の向上に寄与し、更に工事数の減少に伴う渋滞の減少や市民の安全に寄与することが期待されている。
そこで、AIGIDでは自治体や民間事業者などの多様なメンバー参加のもと、自治体が管理する地下埋設物設備の3次元モデル整備と可視化を行い、3次元モデルの整備や利活用ユースケース、必要な運用ルールといったテーマで検討を行った。
3次元モデル整備とデータの可視化では、ブラウザ上で閲覧することを前提に、2次元の画像図面やCAD、GISデータをもとに、3次元モデルを構築。また、3Dモデルを関係者間で共有して、業務効率化に資するユースケース及び必要とする機能拡張やデータ拡張などを整理した。
なお、今回の実証には、地下埋設物を管理する自治体の立場から、千葉県柏市 土木部 下水道維持管理課、静岡県 交通基盤部 政策管理局 建設政策課/道路局 道路保全課、静岡県三島市 都市基盤部 都市整備課/下水道課/水道課、大阪府富田林市 上下水道部 下水道課/産業まちづくり部 道路交通課が参加した。
国土交通データプラットフォームとは、国土交通省が2020年からデジタルツインの実現を目指して構築を進めている3次元データ視覚化機能やデータハブ機能、情報発信機能を有するプラットフォーム。プラットフォーム上に集約されるデータ活用により、業務の効率化やスマートシティーといった国交省施策の高度化、産学官連携によるイノベーションの創出を目標としている。2022年3月20日には、Ver2.1を公開。電子納品保管管理システムとAPIで工事管理ファイルと連携し、国土交通データプラットフォーム上で、過年度の直轄工事情報の表示やデータ取得が可能となった。ほかにも、フリーワード検索やアイコンのクラスタ表示、BIM/CIMモデルのデータ追加、海洋状況表示システム(海しる)などとのデータ連携も拡充した。
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