CCU材料の炭酸カルシウム微粉末を大量混入した高流動コンクリートを開発:新建材
鹿島建設は、日本コンクリート工業とCO2を大幅に削減できる環境配慮型コンクリートの共同研究に取り組み、「i-Construction」による作業の省人化とCO2削減を同時に実現する技術を開発した。場所打ちコンクリートにも適用できる。
鹿島建設は、日本コンクリート工業とCO2を大幅に削減できる環境配慮型コンクリートの共同研究に2021年4月から取り組み、「i-Construction」による作業の省人化とCO2削減を同時に実現する技術を開発した
日本コンクリート工業は、プレキャストコンクリート製品工場の排気ガスから回収した炭酸ガス(CO2)とコンクリート廃材のカルシウムより製造されるCO2を固定化した軽質炭酸カルシウム微粉末「エコタンカル」を開発している。これに同社開発の、高流動コンクリートに大量の炭酸カルシウム微粉末を混入する技術を組み合わせ、コンクリート締固め作業の省人化と大幅なCO2削減を同時に可能とした。プレキャストコンクリートや所打ちコンクリートに適用できる。
具体的には、高炉スラグ微粉末やフライアッシュを混入してセメント量を減じ、かつエコタンカルを1立方メートル当たり313キログラム混入することで、通常のコンクリートに比べてCO2を256キログラム立方メートル削減する。これにより、1立方メートル当たり-5キログラムのカーボンネガティブを実現する。鹿島建設が開発した再生セメント「CemR3(セムアールスリー)」を用いると、さらにCO2を削減できるという。
製造過程で大量のCO2を排出するセメントの削減は、建設業界における喫緊の課題であり、CO2を吸収して硬化するCO2吸収型コンクリートや、戻りコンクリートや残コンクリートにCO2を吸収させて炭酸カルシウムの微粉末を製造する技術などが開発されてきた。既に商品化もされているが、コストが高く普及は難しいとされている。
また、国土交通省推奨のi-Constructionでは、コンクリート打設時の締固めが不要で作業を省人化できる高流動コンクリートが見直され、コンクリート打設の自動化につながる技術として注目されている。
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