ニュース
工期を短縮する静的破砕による杭頭処理工法の外販を開始、戸田建設ら:製品動向
戸田建設は、これまで同社の施工案件に使用を制限していた杭頭処理工法「しずかちゃん」を外販する体制を精研とともに整備した。さらに、両社は、今回の工法を「水の凍結膨張圧による凍結杭頭処理工法“しずかちゃん”」の技術名称で、国土交通省が運用している「新技術情報提供システムNETIS(NETIS)」へ登録し、これを機に土木・建築分野を問わず建設工事へ広く展開していく見込みだ。
戸田建設は、これまで同社の施工案件に使用を制限していた杭頭処理工法「しずかちゃん」を外販する体制を精研とともに整えたことを2022年2月15日に発表した。
納期は2カ月程度
しずかちゃんは、水の凍結膨張圧を利用して、杭頭部に水平方向に制御されたひび割れを発生させ、余盛りコンクリートをはつることなく撤去可能な工法で、従来工法と比べてはつり作業を低減し、騒音と振動が小さく、粉じんの量を減らせ、工期短縮も実現する。
具体的には、凍結破砕作業は液体窒素を使用し、水の凍結膨張(膨張率約9%)を利用してコンクリートにひび割れを発生し、扁平形状に加工した凍結管により、ひび割れを水平方向に制御する。仕上げは、手はつりと同様の破砕面となり、全ての場所打ち杭工法に対応している。液体窒素注入から10分程度でコンクリートを破砕するため工期を短縮する。
加えて、建設騒音対策がとくに求められる工事と杭頭処理の工期短縮が必要な工事での活用を推奨している。しずかちゃんの採用手順は、まず精研へ問合せた後、精研から見積の提案、見積書にて成約。続いて、工事へ適用(工事指導、打ち合せ、資機材の送付、納期は2カ月程度)となる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 戸田式杭頭免震工法で設計指針の構造性能評価を取得、設計工程が4カ月短縮
戸田建設が開発した独自の免震工法「戸田式杭頭免震工法」が、構造性能評価を取得した。これにより、従来よりも審査工程が簡略化される一般確認ルートが可能となり、設計工程のスピード化が図れるようになった。 - 腐食穴が生じた既設桟橋鋼管杭の杭頭部に適用できる新たな補修技術、東亜建設工業
東亜建設工業は、既設桟橋鋼管杭の杭頭部付近に腐食穴が生じた場合でも適用可能な補修技術「鋼板接着併用型タフリードPJ工法」を開発した。今後は、過酷な環境下にある桟橋のリニューアル工事で新工法を幅広く使えるように、施工性の向上やコストダウンを推進する。 - 伸縮する鉄筋かごを用いた場所打ち杭工法を「JR渋谷駅改良工事」に初適用
鹿島建設は、伸縮する“鉄筋かご”を用いる「ストランド場所打ち杭工法」を改良し、JR渋谷駅改良工事で初適用した。同工法は、ストランドと帯鉄筋の結合部に、新開発の90度回転可能な金具を取り付け、従来工法よりも伸縮がスムーズとなり、5日かかる鉄筋かごの建て込みが5時間で完了した。 - 評定取得でT−EAGLE杭工法が中層建築物にも適用可能に
大成建設とシステム計測が、共同開発した大口径多段拡径場所打ちコンクリート杭工法「T−EAGLE杭工法」が、ベターリビングの評定取得により、中層建築物にも適用できるようになった。今後、工期短縮などに役立つT−EAGLE杭工法を高層建築物と中層建築物に適用し、施工の効率化などを進めていく。