「デジタル室」新設で建設事業の効率化を後押し、竹中工務店が機構改革:業界動向
竹中工務店は、事業環境の変化への対応と重点分野の強化を図るべく、デジタル変革を推進する「デジタル室」を新設するなど、本社機構の改革を決定した。
竹中工務店は、事業環境の変化への対応と重点分野の対応強化を図る目的で、2022年3月1日付で機構改革を実施する。
機構改革では、デジタル変革を担う責任部門としてグループICT推進室を改め、「デジタル室」を新設し、エンジニアリング本部内の組織も改定する。
デジタル室は、デジタル変革で建設事業の効率向上を狙いに、事業のデジタル化やデジタル人材育成などを推進。併せて、グループ全体のデジタル化を進め、社会と顧客への新たな価値創出を目指す。
エンジニアリング本部内の組織改定では、同部内に「レジリエンスソリューション推進室」を設置。昨今の自然災害や感染症、今後想定される気候変動の影響による災害の激甚化などに備えるニーズが増加していることを受け、顧客の安全・安心、建築や街のレジリエンス向上を目指し、BCP対策のサポート、新たなソリューションの整備を後押しする。 部門名称の変更では、エンジニアリング本部内の環境エンジニアリング本部を対応分野の明確化を図るべく、「環境共生・エネルギー本部」に、先進構造エンジニアリング本部を構造以外の先端技術やスタジアム/アリーナなどの大空間プロジェクトへの対応力を強化するため、「空間・構造エンジニアリング本部」に名称を変更する。
また、営業本部内の組織改定では、変化の著しい受注環境に対応し、機動的な営業体制を整えることを見据え、営業本部内に「先端生産部」「開発戦略部」を創設。先端生産部は、製造業の市場環境や投資動向などの収集や分析を行うとともに、高度化や専門化する顧客ニーズへの対応を強化する。
開発戦略部は、拡大が見込まれる市場や高度な専門性が求められる分野、社会的に対応が求められる領域などへのソリューションを蓄積し、全社的に展開していくだけでなく、ステークホルダーに企画提案なども行っていく。
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