清水建設とソニーが建設現場の巡回・監視ロボットの実用化に向けた実証実験を開始:ロボット
清水建設とソニーグループは、建設現場の巡回、監視、出来高検査などの施工管理業務に、移動ロボットを導入する有用性の確認とその課題やニーズの整理を目的とした実証実験をスタートした。実証実験は、清水建設が東京都港区で施工を進める「虎ノ門・麻布台プロジェクトA街区」のタワービルで2021年11月から2022年6月まで行う。さらに、段差や開口、障害物などがある実際の建設現場で、ソニーのR&Dセンターが開発中の移動ロボット検証機を動作させ、性能評価と技術検証を実施する。
清水建設とソニーグループは、建設現場での巡回や監視といった施工管理業務の効率化を目的としたロボットの実用化に向けて共同実証実験を開始したことを2021年12月14日に発表した。
使用するロボットは脚移動と車輪移動の両立を実現する6脚車輪構成
建設業界では、将来、工事現場での技術者不足が懸念されていることから、テクノロジーの活用による生産性向上への期待が高まっている。
そこで、清水建設では、施工管理の効率化を目的に、工事の出来高と安全管理をロボットが代替することを視野に入れ、建設現場への新たな技術の導入を検討してきた。一方、ソニーグループでは、エネルギー効率の高い移動ロボティクス技術の開発を行っており、さまざまな産業分野への応用を目指し、実証実験フェーズへの移行を模索していた。
こういった状況もあり、両社は、建設現場で実用可能な移動ロボットの技術開発を推進するために、共同で実証実験をスタートした。期間は2021年11月から2022年6月までを予定している。
今回の実証実験では、清水建設が東京都港区で施工を進める「虎ノ門・麻布台プロジェクト(虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業)A街区」のタワービルで、ソニーグループ製移動ロボットの検証機を動作させ、従来は管理者が行っていた施工現場の巡回や監視業務、工事の出来高確認検査業務を代行するイメージで、歩行性能、監視(撮影)性能、操作性能を検証する。
具体的には、ソニーグループ製移動ロボットの検証機により、段差の昇降、狭小な経路の通過、水たまりや開口(穴)などの歩行不適な場所の回避、認識が難しいガラスやメッシュの壁面がある空間での適正移動、バッテリー性能を確認。また、操作用タブレットデバイスによるロボット歩行経路の作成、ロボットによる測位、静的・動的障害物の回避動作の考案、機体に搭載したカメラによる撮影などのチェックを行う。
使用するロボットは、脚移動と車輪移動の両立を実現する6脚車輪構成で、整地と不整地が混在する環境でも、常時安定かつ高効率な移動が可能。最大移動速度は毎秒1.7メートルで、ロボット脚部にかかる負荷を分散させるメカ構成により、20キロの高い可搬重量を実現している。
機体サイズは、全高720〜1220ミリ(500ミリの可変ストローク)、全長912ミリ、全幅672ミリで、重さは89キロ(バッテリーを含む)。
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