三井住友建設がPCa部材管理システムを現場で運用開始、ペーパーレス化と省力化を実現:プレキャスト
三井住友建設はグループ会社のSMCプレコンクリートが茨城県で保有する茨城工場に部材管理システム「PATRAC-DL」を導入したことを公表した。茨城工場では、PATRAC-DLを採用することで、部材に貼り付けたRFIDタグにより、生産管理情報のトレーサビリティーが製造工場から建設現場まで広がり、部材データのシームレスな一元管理と、実現場での受入検査や記録作業の効率化、省力化を実現した。
三井住友建設は、超高層マンションなどの主要構造体として用いるプレキャスト(PCa)部材の生産管理で、PCa製造工場※1で導入している部材管理システム「PATRAC-DL」に「現場受入検査機能」を新たに追加し、実現場での運用を開始したことを2021年12月3日に発表した。
※1 PCa製造工場:三井住友建設グループのSMCプレコンクリートが保有する茨城工場
BIMデータやタワークレーンなどとPATRAC-DLを連携する見込み
三井住友建設グループのSMCプレコンクリートが茨城県で保有する茨城工場ではこれまで、部材の受入検査は、工場で発行した出荷票と現場で管理している搬入リストと部材を目視で確認していた。
そこで、三井住友建設は茨城工業にPATRAC-DLを導入した。PATRAC-DLは、スマートフォン一体型のRFIDリーダーで部材に貼り付けられたタグを読み取って部材を識別する。
加えて、タグを読み取ったスマートフォン一体型リーダーの画面に、工場で登録した生産管理情報や検査記録が表示され、現場受入検査時の情報(画像、メモなど)を登録することも可能。Webブラウザを通じて工場や現場事務所からも入力することもできる。
さらに、工場と建設現場で登録されたデータや検査判定結果は、リアルタイムでクラウド上に保存される。茨城工業ではPATRAC-DLを導入した結果、ペーパーレス化やシームレスなトレーサビリティー、作業の効率化と省力化を実現した。
今後、三井住友建設は、PCa次世代生産管理システム「PATRAC」の開発と、BIMデータやタワークレーンなどとPATRAC-DLを連携する見通しだ。
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