検査結果を直接BIMモデルに、品質管理の効率化に生かす:BIM/CAD
新菱冷熱工業はBIMを活用した品質管理システムを開発した。現場でBIMモデルに部材の検査結果を直接記録することで検査漏れなど削減し、品質管理業務の大幅な効率化を図る狙いという。
新菱冷熱工業はBIMを活用した品質管理システムを開発したと発表した。BIMモデルの各構成部材に品質管理データを直接記録することで、検査漏れなどの人為的ミスをなくし、品質管理業務の大幅な効率化を図れるという。2018年から現場でのフィールドテストを開始し、2年後をめどに全現場での運用を開始する計画だ。
これまで日々の工事進捗管理や検査などの品質管理は、まず印刷した図面に目視や測定、検査などによる管理データを記入し、同時に必要な箇所の写真を撮影する。その後、現場事務所でパソコンにデータを入力し、大量の写真を管理データに関連付けるという手作業で行われていた。この方法では時間がかかり、人為的なミスも発生しやすく、日々の進捗(ちょく)を定量的かつリアルタイムで把握、共有することも難しいという課題があった。
新菱冷熱工業が今回開発したシステムは、タブレットPCにBIMモデルを保存して現場に携帯し、画面上でBIMモデルをタップし、目視確認や検査などの品質管理データを直接記録する仕組みになっている。
各部材は、品質管理項目を属性データとして持っているため、選択した部材に関する管理項目が瞬時に一覧表示される。そのため、管理項目の周知徹底が図られ、確認・検査漏れを防止することができる。同時に写真やテキストデータ、フリーハンドメモを部材に直接記録することも可能という。
品質管理データは、部材の属性データとしてクラウドサーバ上に保存し、BIMデータとして一元管理する。そのため、品質管理データに基づく進捗率や不具合箇所などを、現場事務所などのパソコンでリアルタイムに把握、共有できる他、検査帳票の自動作成も可能という。
工事進捗や検査完了日などのデータは、工程管理システムに取り込み、その後の工程見直しに生かされる。リアルタイムに把握できる進捗データを得られるようになることで、資機材を最適なタイミングで導入できるメリットもあるという。この他、機器の検査記録データは、竣工(しゅんこう)引き渡し後のファシリティマネジメント領域での活用も可能としている。
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