保有する賃貸用オフィスビルにオフサイトコーポレートPPAを活用、清水建設:産業動向
清水建設は、保有する3棟の賃貸用オフィスビルで、「オフサイトコーポレートPPA(Power Purchase Agreement、電力購入契約)」を活用した太陽光由来グリーン電力の導入をスタートする。今回の取り組みは、環境省の補助事業「令和3年度オフサイトコーポレートPPAによる太陽光発電供給モデル創出事業」に採択されている。
清水建設は、保有する3棟の賃貸用オフィスビルで、「オフサイトコーポレートPPA(Power Purchase Agreement、電力購入契約)」を活用した太陽光由来グリーン電力の導入を2022年4月に開始することを2021年12月2日に発表した。
清水建設専用の低圧太陽光発電施設を12棟建設
同社は、グループの環境ビジョン「SHIMZ Beyond Zero 2050」で掲げたカーボンニュートラル施策の一環として、不動産事業部門が保有する賃貸物件の使用電力で脱炭素化を進めている。
不動産事業部門では、清水建設が電力需給契約を締結している賃貸オフィスビルと物流施設で、2030年度までに再生可能エネルギー電力の導入率100%を達成することを目指している。今回の取り組みはその一環で、オフサイトコーポレートPPAの利用は清水建設初の事例で、PPAの適用対象物件は、東京・台東区の「秋葉原アイマークビル」、千代田区の「飯田橋アイマークビル」、港区の「新橋アイマークビル」の3棟。
さらに、PPAは、清水建設、再生可能エネルギー発電会社クリーンエナジーコネクト、小売電気会社スマートエコエナジーの3社間で締結したもの。クリーンエナジーコネクトは、清水建設専用の低圧太陽光発電施設を12棟建設し、発電される電力と環境価値を20年間にわたり、スマートエコエナジーを介して3棟の賃貸用ビルに供給する。
クリーンエナジーコネクトが新設する太陽光発電施設の合計出力は1メガワット(MW)で、農地跡地などの平地を用いて低圧電源を広域に分散配置し、災害リスクや発電量低下リスクを低減して、電力供給の安定化を図る。
当該ビルでは、建物全体で使用する電力のうち2〜3割でPPAに基づく供給電力を使い、残りの電力についてはスマートエコエナジーが調達した再生可能エネルギー電力や環境価値の供給を受ける予定だ。
今後、清水建設は、オフサイト型のみならず、自社保有賃貸物件の屋上などを活用したオンサイト型のコーポレートPPAなどにも取り組み、再生可能エネルギー電力の導入拡大と安定的な電力の長期確保につなげていく。
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