施工〜施設維持まで「再エネ100%」目指すプロジェクト始動、大和ハウス工業:スマートシティ
大和ハウス工業は千葉県船橋市における船橋塚田プロジェクトで、「再生可能エネルギー100%のまちづくり」を開始した。施工から施設維持に至るまで電力の大半を再生可能エネルギー電気で賄う試みは日本初だという。
大和ハウス工業は2019年7月、AGCテクノグラス中山事業場跡地(千葉県船橋市)での複合開発において、「施工」および「暮らし」に必要な全電力を再生可能エネルギーに由来する電気(以下、再エネ電気)で賄う「船橋塚田プロジェクト」に着手したことを発表した。
船橋塚田プロジェクトは、戸建住宅(26区画)、分譲マンション(571戸/11階建て)、賃貸住宅(低層39戸/3階建て4棟、中高層223戸/11階建て)からなる居住街区と商業施設で構成され、事業面積5万7456.19平方メートル(東京ドーム約1.2個分)に達する大規模複合開発プロジェクト。総事業費は約260億円、総工期は2018年8月〜2021年3月。敷地面積は4万7601.38平方メートル。
同プロジェクトでは、居住街区および商業施設の施工時に必要な工事用電源に再エネ電気を100%利用する。プロジェクト完工後も、居住街区については入居者が利用する電気および共用部や街灯の電気なども全て再エネ電気で賄われる。
また戸建て住宅と分譲マンションには太陽光発電システムを設置し、創出した電気を居住街区に供給する。住宅間の電力融通やマンション全体の最大需要電力を自動調整するデマンドコントロールを活用することで、外部から購入する再エネ電気を可能なかぎり削減する取り組みも行う。
本プロジェクトで供給する再エネ電気は、大和ハウスグループが管理・運営する菅沼水力発電所(岐阜県飛騨市。発電出力約2MW)で発電した電気を主に利用する。同発電所と本プロジェクト間で特定卸供給契約を締結して電気を供給するとともに、電気が不足した場合は同グループが全国315カ所で管理・運営する他の再生可能エネルギー発電所から電気を供給する仕組みだ。
ただし同発電所で創出した電気はFIT(固定価格買取制度)電気であるため、そのままではCO2排出量ゼロの環境価値を持つとはみなされない。大和ハウス工業環境エネルギー事業部がトラッキング付き非化石証書を購入し、同発電所から供給された電気であることを証明することで、本プロジェクトに供給する再エネ電気が実質的にCO2排出量ゼロとみなされることになる。またこの取り組みにより、RE100(100%再エネによる事業運営を目標に掲げる企業が加盟する国際的イニシアティブ)のルールにも準拠する仕様となる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 大和ハウス、一棟まるごとリノベーションマンションを販売開始
大和ハウス工業は、大阪府茨木市で同社初の一棟まるごとリノベーションとなる地上8階建て、総戸数34戸の分譲マンション「リブネスモア茨木」の第1期分譲を開始した。 - 大和ハウス、建物の天井施工作業を軽減できるアシスト機器を開発
大和ハウス工業は、建設現場の働き方改革として、建物の天井施工作業を軽減できるアシスト機器の開発を発表。高負荷作業を軽減でき、床から作業ができるため墜転落のリスク軽減にも役立つ。 - BIMによる確認申請を実現した大和ハウス、成功のカギとそのメリット
BUILTに掲載した特集記事を、印刷しても読みやすいPDF形式の「電子ブックレット」に編集しました。会員の皆さまに無料でダウンロードしていただけます。今回は、構造部門で初の試みとなる「BIMによる確認申請」を行った大和ハウスの取り組みを紹介します。 - YKK APが富山「黒部荻生製造所」に、プロユーザー向け技術提案施設「パートナーズサポートスタジオ」開設
YKK APは、富山県黒部市の「YKK AP黒部荻生製造所」内で建設を進めてきた技術提案施設「パートナーズサポートスタジオ」がオープンしたことを明らかにした。同スタジオは、YKK APの製品群や技術を提案するホームビルダーや設計事務所などプロユーザーを対象とした施設。隣接する「YKK AP R&Dセンター」や「価値検証センター(VVC)」の機能拡張として、建材やインテリアの商品展示や技術の訴求を行っていく。