オリ・パラ後の建設業の見通しについて調査、大阪万博に注目する人は45.2%:産業動向
JAGフィールドは、建設業界に従事する1021人を対象に、「オリンピック・パラリンピック後の建設業界の動向」についてリサーチした。その結果、「オリンピック・パラリンピック後に控えている事業で注目しているのは何か」と複数回答可能の条件で対象者に質問したところ、「2025年の大阪万博(および周辺地域のインフラ整備)」と回答した人は全体の45.2%で最も多かった。
JAGフィールドは、建設業界に従事する1021人を対象に、インターネット上で、「オリンピック・パラリンピック後の建設業界の動向」に関する調査を2021年8月18〜19日に行い2021年10月12日に発表した。
オリ・パラ後も建設業界は下火にならないと思う人は全体の45.5%
調査結果によれば、「オリンピック・パラリンピック後に控えている事業で注目しているのは何か」と複数回答可能の条件で対象者に質問したところ、「2025年の大阪万博(および周辺地域のインフラ整備)」と回答した人は全体の45.2%で最も多かった。
次いで、「2027年に開業予定のリニア新幹線に関連する工事」は32.1%で、「高速道路リニューアルプロジェクト」は20.7%、「IRリゾートに関連する工事」は20%、「高度成長期以降に整備された道路、河川・ダム、下水道などインフラ維持管理」は16.5%。
「オリンピック・パラリンピック後に控えている事業で注目しているのは何か」(左)と「オリンピック・パラリンピック後も建設業界は下火にならないと思うか」(右)の質問への回答 出典:JAGフィールドプレスリリース
「オリンピック・パラリンピック後も建設業界は下火にならないと思うか」と対象者に尋ねたところ、「いいえ」と答えた人は全体の54.5%で過半数となり、「はい」とした人は45.5%となった。
「はい」と返答した人に理由を聞いたところ、「少子高齢化といえど総人口は多いため住宅が必要になる(20代/女性/愛知県)」「老朽化、耐震工事、災害復旧等の工事が多数ある(30代/男性/山口県)」「直後は落ち込むと思うが、リニア新幹線など需要も多い(40代/男性/愛知県)」「必ず古くなる建物があるから、取り壊して新しいものを作る(40代/男性/富山県)」「災害対策など、まだまだインフラ整備は必要(50代/男性/東京都)」といった意見が寄せられた。
「オリンピック・パラリンピック後の建設業界の課題は何だと思うか」と対象者に質問したところ、「人手不足の深刻化(高齢化と若者離れ)」は全体の54.1%で半数以上を占めた。次に、「建設業界の働き方改革」は36.2%で、「人材流出(他業種に流出する人材を含む)」は30.8%と続き、建設業界の課題が「人」に集中していることが判明した。
「オリンピック・パラリンピック後の建設業界にはどのような人材が欠かせないと思うか」と複数回答可能の条件で対象者に尋ねたところ、「経験豊富な実務経験有り」と返答した人は全体の52.6%で最多だった。次に、「有資格者(施工管理・建築士など)」は44.4%で、「コミュニケーション能力やマネジメント能力が高い他業種の人材」は38.1%となった。
「オリンピック・パラリンピック後の建設業界にはどのような人材が欠かせないと思うか」(左)と「優秀な人材を確保するために必要なのは、どのようなことだと思うか」(右)の質問への回答 出典:JAGフィールドプレスリリース
「優秀な人材を確保するために必要なのは、どのようなことだと思うか」と聞いたところ、「給与などの待遇向上」と回答した人は全体の61.0%で半数を超えた。次に、「福利厚生の充実」は40.3%で、「週休二日制など労働環境の改善」は39.6%となった。
今回のリサーチで、建設業界従事者はオリンピック・パラリンピック後も、下火にはならないと考えている人は多いことが分かった。また、こういった見解は、「大阪万博」「リニア新幹線」「高速道路リニューアル」といった大規模事業や解体、補強などの需要継続を根拠としていることも判明した。さらに、建設業の従事者が業界の待遇や働き方などに課題を感じており、改善する意欲を強く持っていることも見られた。
<調査の概要>
調査時期:2021年8月18〜19日
調査対象:建設業界に従事する1021人
調査手法:インターネットによるアンケート調査
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