2021年度の住宅用断熱材市場は前年比増の1兆8242億円、改修需要と感染症対策が要因に:産業動向
矢野経済研究所は、住宅設備機器メーカーや関連団体などを対象に、国内の住宅設備機器市場における動向について調べたレポートを公表した。調査結果によれば、2021年度における主要住宅設備機器の市場は前年度比3.4%増の1兆8242億円になると予測した。
矢野経済研究所は、住宅設備機器メーカーや関連団体などを2021年8月〜9月に調査し、国内の住宅設備機器市場における現況や市場規模、分野別、参入企業の動向、将来の展望を2021年10月18日に発表した。
2020年度における主要住宅設備機器の市場規模は前年度比6.2%減
2020年度における主要住宅設備機器※1の市場規模は、前年度比6.2%減の1兆7637億5000万円と推計した。具体的には、水まわり設備機器市場と創エネ関連設備機器は前年と比べマイナスとなったが、要因は2020年度上半期にコロナ禍で生じた営業活動制限の影響と想定されている。2020年度の下半期以降は、リフォーム市場を中心に需要の盛り返しはみられたものの、上半期の落ち込みを補えずに着地する結果となった。
※1 主要住宅設備機器:水まわり設備や水まわり関連設備、創エネ関連設備機器の合計値
加えて、コロナ禍を背景に衛生面に対する意識が高まり、手をかざすことでセンサーが感知し自動で吐水・止水可能な水栓タッチレス水栓や食器洗い乾燥機などの需要拡大がみられる。新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策として、うがいと手洗いの機会が増えたことで、洗面空間を見直す動きや玄関に洗面化粧台を新設する動きなども発生した。
さらに、在宅時間の長期化に伴い自宅で調理する機会が増えていることや感染予防対策、健康意識の高まりなどを理由に入浴時間が長くなっていることから、コンロや給湯器の交換需要が堅調に伸びた。
2021年度における主要住宅設備機器の市場規模は、前年度比3.4%増の1兆8242億円になると予測した。市場規模拡大を見込む要因としては、コロナ禍による景気の先行き不透明感はあるものの、2020度後半から継続している底堅いリフォーム需要の他、新築市場も回復傾向が継続していることが挙げられる。「衛生」「健康」「巣ごもり」に関連する設備の需要増加が市場拡大を後押しする見通しだ。
また、創エネ関連設備機器のセグメントに含まれる家庭用蓄電システムは、太陽光発電システムの10年間FIT(固定価格買取制度)期間が終了し、卒FIT世帯による電力自家消費需要の増加だけでなく、多発する自然災害に対するレジリエンスへの対応と合わせて、底堅い需要が予期される。
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