矢野経済研究所がホテル国内市場調査、7年連続のプラス成長へ:産業動向
矢野経済研究所は2018年度のホテルの国内市場を調査し、部門別の市場規模、参入企業動向、将来展望を明らかにした。訪日外国人旅行者の急増などを追い風に、7年連続のプラス成長で過去最高の水準となった。
矢野経済研究所は、日本国内でホテルを運営する企業を対象にホテルの国内市場を調査し、ホテル市場の国内市場規模、部門別の市場規模、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
2018年度のホテルの国内市場規模(事業者売上高ベース)は前期比5.6%増の2兆291億円となり、7年連続のプラス成長で過去最高の水準となった。この背景には、国内旅行の堅調や企業の出張需要の増加に加え、訪日外国人旅行者の急増が好調な宿泊需要を大きくけん引している。
宿泊単価の高騰によるホテル離れや民泊など宿泊需要の多様化、地震や台風などの相次ぐ自然災害などのマイナス要因はあったものの、市場全体でみるとホテルへの需要は引き続き堅調に推移している。東京都心部をはじめ、全国の主要都市や有力観光地などではホテルの客室稼働率は高水準の推移を続け、客室単価も高止まりの状況にある。
現在、ホテル業界が最も注力している集客策は、インバウンドに向けた取り組みだ。特に、2020年の東京オリンピック開催に向けて、今以上の増加が期待される訪日客を取り込むために、新規出店や大型改修など、投資を拡大させる動きが目立つという。
ホテル事業者では、単価の高い上層階の改修や、訪日客を意識して複数人数で利用できる客室へのリニューアルなどを積極化させている。客室の改装とともに、外国人客などから要望の多い無料のWi-Fiサービスの導入なども進めており、多言語対応のタブレット端末の配置や、照明や空調の調整からカーテンの上げ下げ、ルームサービスの注文などができるサービスなどを導入するホテルもある。また、訪日客を呼び込もうと、海外でのマーケティング活動も活発化している。セールス拠点として海外営業所を開設したり、海外ホテルと提携して相互送客する動きなども目立つ。
2019年度以降についても各種の国際的な大型イベントが続くこともあり、今後も訪日客を中心とした宿泊需要の増加が見込まれる。そのため同レポートでは、ホテル市場は当面はプラス成長を続け、2019年度の市場規模についても、前期比5.8%増の2兆1468億円まで拡大するものと推測している。
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