「2021年度の建設投資総額は前年を2.9%上回り、15年度以降で最大規模」建設投資見通し:建設業の人材動向レポート(39)(2/2 ページ)
本連載では、ヒューマンリソシアが運営する「建設HR(旧ヒューマンタッチ総研)」が独自に調査した建設業における人材動向について、さまざまな観点で毎月レポートを発表している。今回は、国土交通省の「2021年度建設投資見通し」を基礎資料に、今後の建設市場を予測した。
民間建設投資は、前年度比3.2%増となるも19年度の水準には達せず
2021年度の民間建設投資は、前年度比3.2%増の38兆1200億円の見通しになっている(図表4)。新型コロナ感染症拡大の影響で大きく落ち込んだ前年度よりは回復するが、19年度の39兆7700億円には届かない。
工事種類別にみると、民間住宅投資が15兆3500億円(前年度比1.5%増)、民間非住宅投資が10兆7900億円(同2.6%増)、民間リフォーム・リニューアル投資が6兆300億円(同2.9%増)、民間土木が5兆9500億円(同9.2%増)と、全ての工事分野で前年度を上回った。一方、コロナ禍前の2019年度を上回ったのは土木工事のみだった(図表5)。
考察
2021年度の建設市場は、公共事業による政府土木投資の増加に加えて、民間の建設投資がコロナ禍の影響から脱して復調しつつあることもあり、20年度を2.9%上回る62兆6500億円に成長すると見込まれている。
政府・民間別/工事分野別の21年度の増減見通し額をみると、民間土木工事が50億円増で最も増加額が大きく、次いで政府土木工事が45億円増となっている。このことから、政府および民間の土木投資の増加が、建設市場の拡大を支える大きな要因であると予測されていることが分かる。(図表6)。
著者Profile
建設HR
建設HRは、総合人材サービス事業を行うヒューマンリソシアが運営する「建設人事のお悩みに寄りそう」をコンセプトに、建設業界人のお困りごとに寄りそい、ともに向き合い、ときには半歩先の未来を提案するHRビジネス・パートナーとして、さまざまな記事などを発信するメディア。
同編集部では、建設業界に特化した人材動向/市場動向/未来予測などの調査・分析に関する独自調査レポートやマンスリーレポート、建設ICTの最新ソリューションを紹介するセミナーなど、建設業界に関わるさまざまな情報発信も行っている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 産業動向:「ゼネコンは8社が減益、電気通信は5G基地局の増大などで好調」建設業の第2四半期決算
建設HRは2022年3月期第2四半期決算のまとめを公表した。レポートでは、建設業関連6業種全てが前年同期比で増収となる一方で、純利益は4業種が減益になったと報告している。 - 産業動向:「平均年間給与額は製造業よりも建設業が高い」、給与額の実態を分析
建設HRは、国内における建設業の人材市場動向をまとめた2021年10月分のマンスリーレポートを公表した。今月のトピックスでは、建設業での給与額の実態を年齢層別や職種別に分析している。 - 「2四半期連続で悪化、今後3カ月後も」日銀短観に見る建設業の景況
本連載では、ヒューマンリソシアが運営する「建設HR 編集部(旧ヒューマンタッチ総研)」が独自に調査した建設業における人材動向について、さまざまな観点で毎月レポートを発表している。今回は、建設業の景況について、日銀の全国企業短期経済観測調査(短観)を資料に分析している。 - 産業動向:建設業の“海外人材”活用は他産業よりも大幅増だが技能工は伸び悩む、建設HR独自分析
建設HRは、人手不足に陥っている国内の建設業界で海外人材の動向をさまざまな調査統計をもとに分析した。調査レポートでは、他の産業と比較しても大幅に増加している一方、特定技能で建設技能工として来日する海外人材は伸び悩んでいる実態が判明した。 - 産業動向:建設業に就職した新卒者の離職率を調査「高校新卒は3年以内の離職率が4割超」
建設HRは、国内における建設業の人材市場動向をまとめた2021年11月分のマンスリーレポートを公表した。今月は、厚生労働省の「新規学卒者の離職状況」の最新データから、建設業に就職した新卒者の離職率を独自に調査した。 - 建設業の人材動向レポート(37):「建設業は他産業よりも65歳以上の割合が高く高齢化は進む」建設HRレポート
本連載では、建設HR 編集部(旧ヒューマンタッチ総研)が独自に調査した建設業における人材動向について、さまざまな観点で毎月レポートを発表している。今回は、総務省統計局の「労働力調査」を基礎資料に、建設業界の高齢化について考察している。 - 市場動向:国土強靭化に向けての予算規模はさらに上積みか、国交省予算概算要求を独自分析
建設HRは、2022年度の国土交通省予算概算要求から見る建設市場動向をまとめた。 - 建設業の人材動向レポート(36):「上期の建設市場は全月で前年同月を上回る、下期は民間工事も復調か」建設HRレポート
本連載では、建設HR 編集部(旧ヒューマンタッチ総研)が独自に調査した建設業における人材動向について、さまざまな観点で毎月レポートを発表している。今回は、国土交通省の「建設総合統計」と「建設工事受注動態統計調査」を基礎資料に、2021年上半期の市場動向と下半期の予測について考察している。