ヒヤリハット報告のデジタル化を実現したアプリケーション、戸田建設:ICT
戸田建設は、新ヒヤリハット報告に対応したアプリケーション「ヒヤリポ」を開発した。同社は、ヒヤリポの現場導入に先立ち、複数現場でのトライアルを実施し、現場利用における詳細なニーズや課題の抽出をベースに、必要な機能改善を行っている。今後は、ヒヤリポの効果測定を行う他、収集したデータを既存安全関連データと組み合わせて分析した結果を基に機能を検証していく。
戸田建設は、現場のヒヤリハット※1報告および建設業労働災害防止協会(建災防)の知見をベースに開発された新ヒヤリハット報告に対応したアプリケーション「ヒヤリポ」を開発したことを2021年11月2日に発表した。
※1 ヒヤリハット:災害や事故に直結していたかもしれない一歩手前の出来事を表現した業界用語
ヒヤリハットのフィードバックにも対応
これまでヒヤリハットの報告および集計は、紙のKY記録表※2に記入する方式が採用されており、報告の確認やその後の集計に時間がかかる他、書き込むタイミングが遅れてしまい、正確な情報の伝達が難しかった。
※2 KY記録表:「危険予知活動」の頭文字を取ってKY活動と呼んでいる
そこで、戸田建設は、新ヒヤリハット報告に対応したアプリのヒヤリポを開発し、作業員のスマートフォンでヒヤリハットの報告を行えるようにして、よりタイムリーで正確な情報収集を実現した。ヒヤリポは、各作業員保有のスマートフォンにインストールすることで、さまざまな業員からの報告作業を容易にできる。
具体的には、ヒヤリポのユーザーインタフェースは、作業員に親しみやすく、操作性を意識したデザインを採用している。さらに、ヒヤリハット報告を4ステップに分割することにより任意のタイミングで、必要に応じた詳細な報告が可能。加えて、他の作業員が記入した報告事例を読め、ヒヤリハット報告の元請社員への通知と元請社員からのフィードバックに応じる。
ヒヤリハット報告に対しては、ポイント付与機能により伝えやすい風土の醸成をサポートし、管理画面で現場報告のリアルタイムな集計と可視化も行える。また、建災防が算出した建設業全体におけるヒヤリハットの平均値と推奨される安全衛生活動も表示する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 作業者の安全を見守る安全衛生支援サービス「Work Mate」試行運用を開始
ユビテックは鹿島建設と共同で、工場や工事現場などで働く作業者の安全を見守る安全衛生支援サービス「Work Mate」の機能向上を目指し、2021年3月1日より試行運用を開始した。体調不良者の即時発見、対処に対する有効性を検証する。 - 安全体験VRで重篤災害の多発する“トンネル掘削工”のコンテンツを開発、戸田建設
戸田建設は、VR技術を活用したトンネル工事を対象にした安全教育ツール「バーチャルNATM」を開発した。HMD(ヘッドマウントディスプレイ)に投影した空間内を、専用のコントローラーを使って自由に行動し、安全巡視を体感する。さらに、臨場感のあるVRの中で事故を発生させる不安全行動や不安全状態、トンネル内で想定される災害に巻き込まれた状況も体験でき、危険予知能力や安全意識の向上を図ることができる。 - ステレオカメラ研究の第一人者の技術を活用した建機の接触事故防止システム
エウレカは、建設機械の接触事故を防止する産業用車両リスク回避支援システム「synxtera(シンクステラ)」と作業範囲警戒人検知システム「Obvision(オービジョン)」を開発し、2021年5月12日に受注を開始した。 - 工事車両の逸走事故を体験可能なVRを開発、きんでん
きんでんは2019年5月、配電工事に携わる作業員の危険感受性を高めることを目的に、受講者が容易に使える可搬型の「VR電力量計アーク災害体感教育ツール」を開発した。同ツールの教育効果を確認し、第2弾のコンテンツについて検討を行い、災害やヒヤリ・ハットの事例が多い高所作業車逸走災害を採り上げた。