住宅の手書き図面から3DモデルをAIで自動生成、VR化で完成後の幅・奥行きなどを施主が体感:住宅ビジネスフェア2021(3/3 ページ)
コンピュータシステム研究所は、住宅の手書き図面をAIで解析して3Dモデルを自動で生成し、VR化するソリューションを提案している。打ち合わせの初期段階で、3Dモデルをスピーディーに作成することで、工事完成後のイメージを施主に理解してもらい、営業活動の効率化につながるのが大きな特徴となっている。
VR機能では、隣の家からの見え方も確認可能
ALTA Revolutionで作成した3Dモデルは、物件のイメージパースや鳥瞰図としても活用できる。加えて、別サービスの「ALTA for VR」でVRデータに変換すれば、部屋の中にいる感覚で設計イメージをつかめる。
VR化した間取りは、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を装着して、部屋の中を歩き回るウォークスルーで確認。VR空間では高さも認識し、装着する人の目の高さに応じた映像を映し出すため、かがんだり背伸びをしたりすれば映像も連動。VRのデータは実寸スケールなので、部屋の広さや奥行き感がリアルに感じ取れる。
また、ALTA Revolution上で床や壁などの部材を変更すると、リアルタイムでVR上に反映。サッシの高さや間取りの変更などもすぐに修正され、実寸で視認できるので、建築や部材の知識が無い発注者にも、自分が納得する好みのデザインを選べるようになる。
VR機能の独自性は、隣の家から自分の家を見たときの見え方も確認できる点。隣のベランダから自分の家の内部が覗(のぞ)けるかどうかなど、目隠しのブラインドや植栽などの配置でプライバシーがどの程度、確保できるかの検証に役立つ。
VR上では、ほかにも光の当たり具合をシミュレーションして、室内の日光や影も検討できる。3DやVRでは、従来の紙の図面では説明のしにくい、例えば小屋裏の狭い空間がどのぐらい狭いのかといったことを理解してもらいやすいのが利点となっている。建築事業部 建築MA課 課長代理 越智安彦氏は、建設業での本格的なVRシステムの利用について、「まだ10%も導入されていないだろう」と話し、今後への期待を寄せた。
VRを利用するには、画像処理の能力に優れたPCが必要になる。出展ブースでは、3Dゲームに使われる高性能PCを展示。コンピュータシステム研究所では、ハードウェアとソフトウェアをセットで、買い取りまたはリースで提供する。ちなみに、このVRシステムを運用するには、4×4メートルほどのスペースが必要とのことだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- VR:高速道路の点検で生じるリスクを体験できる新たなVR、アクティオ
アクティオは、高速道路の点検で生じるリスクを体験できるVR「Safety Training System VR of AKTIO」を開発した。 - LED:パナソニックが人の行動を促す屋外の“照明演出”「アフォーダンスライティング」の提供開始
昨今、官民連携による屋外でのライトアップ演出事業が伸長しているといわれる。LED照明を主力事業の一つとしているパナソニックは、これまでにも公共施設や商業施設などで安全・快適・省エネを実現する照明空間を提供してきた。パナソニック エレクトリックワークス社が今般、発表した照明演出「アフォーダンスライティング」は、長年培ってきた街路灯照明の技術をベースに、光を高度にコントロールして、屋外の照明演出で人の行動作用にも変化を与える。 - VR:森ビルが火災時初動訓練を体験できるVRシミュレーターを独自開発
森ビルでは、同社が保有する物件の管理と運営に関わる現場社員と協力会社のスタッフを対象に、VR技術を使用した訓練システム「火災時初動訓練 VR シミュレーター」による初動訓練を2021年9月に開始した。 - プロジェクト:京都・東山の「新道小学校」と「宮川町歌舞練場」の跡地でICT活用のホテルなど街づくり、隈研吾建築都市設計事務所が設計監修
NTT都市開発は、京都市東山区小松町の新道小学校と宮川町歌舞練場の跡地で、宿泊施設、劇場、地域施設などの再開発計画を2025年夏ごろの開業に向け進めている。街の運営では、NTTグループのICTやデジタル基盤「街づくり DTC」も活用し、VRでの伝統文化の発信や地域コミュニティーの醸成につなげる。 - 第3回 建設・測量 生産性向上展:レーザーで計測から3Dモデル化までを効率化する、ライカジオシステムズの多彩な測量製品群
ライカジオシステムズは、「第3回 建設・測量生産性向上展」で最先端のレーザー測量に関する製品展示を行った。なかでも、不動産の内見などで活用が広がるVRコンテンツの制作に用いるハンディタイプのレーザースキャナー、GNSSを手軽に活用するための受信アンテナは、来場者の関心を集めた。 - ICT:鹿島がVR空間を利用し現場の遠隔管理を実現、点群データや現場映像などを確認可能
鹿島建設は、リコーが開発したVRシステム「リコーバーチャルワークプレイス」の現場への導入を開始した。 - Autodesk University 2020:「作るBIM」から「使うBIM」へ、大林組の“LOD”を共有する管理システムの全容解説
多岐にわたる膨大な情報を内包しているBIMモデル。必要に応じて適切な情報を選び出すことが、BIMモデルを活用するための大前提となる。だが、実際には「どの情報が信じられるか?」を見ただけで判別するのは難しい。しかも、この問題を解決するカギと目される詳細度「LOD」もモデルとの間に大きな断絶がある。そこでLODに基づきながら、BIMモデルを介したコミュニケーション環境を構築しようという新たな取り組みが始まっている。「Autodesk University 2020」で、大林組でデジタル推進室iPDセンターに所属し、全社的なモデリングルール整備などBIM運用の管理業務を行う谷口隆二氏と、応用技術でBIM事業の立ち上げを主導し、親会社のトランスコスモスと共同のシステム開発も含めたBIMトータルサービス「to BIM」をローンチする高木英一氏の発表から、LODを一元的に関係者間で共有する管理システムの全容を紹介する。