西松建設らがきくらげの最適な栽培環境構築手法を確立、収穫量の10%アップを実現:産業動向
きくらげの栽培は、温度、湿度、CO2を計測し、外気温の変化に合わせて、換気扇、暖房器、加湿器などの装置を調整しつつ、コンテナ内の栽培環境を整え、管理を行う。今までは、管理者が、現地を確認し経験や勘によって栽培管理を行っており、効率化が求められていた。解決策として、西松建設と日本きくらげは、環境監視クラウドシステム「OKIPPA_Green」を用いて、最適なきくらげの栽培環境を確立する技術を開発した。
西松建設は、日本きくらげと共同で、きくらげ栽培の省力化を図りつつ、収穫量と品質を向上させる技術を開発したことを2021年10月26日に発表した。
高規格品の比率を12%増加
日本きくらげは、日本で国産きくらげの普及を図るため、現在山梨県河口湖町で、40フィートトラックコンテナを利用しきくらげ栽培事業に取り組んでいる、しかし、きくらげの栽培は、一定の温湿度とCO2管理が必要になるなど、繊細な管理が求められる他、環境把握の自動化は大きな設備投資が必要という問題があった。
そこで、日本きくらげは、西松建設の環境監視クラウドシステム「OKIPPA_Green」を活用し、最適な栽培環境を計測する共同実証を2020年9月に開始した。
共同実証では、OKIPPA_Greenのセンサー情報を基に、換気扇を自動制御して最適な栽培環境を維持することを実現し、装置操作や現地のコンテナで行われていた1日あたり5回の栽培環境確認作業(1回あたり約5分)を省略して、約25分の省力化を達成。
また、OKIPPA_Greenの計測データをベースに換気設備を自動制御し、最適な栽培環境から逸脱した状態になることを無くし、今回の共同実証では計画していた収穫量の10%アップと、高規格品(サイズと厚みが一定以上のもの)の比率を12%増加させることに成功した。
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