【新連載】「センサー技術」の進化と建設テックへの道のり:建設業務でも活躍の場を広げるようになったスマホ:建設現場を“可視化”する「センサー技術」の進化と建設テックへの道のり(1)(1/2 ページ)
本連載では、日立ソリューションズの建設ICTエバンジェリストが、建設業界でのセンサー技術の可能性について、各回で技術テーマを設定して、建設テック(ConTech)実現までの道のりを分かりやすく解説していきます。初回の第1回は、いまや日常生活でも手放せなくなった「スマートフォン」の建設業務での利活用とさらなる用途の広がりについて紹介します。
国土交通省が“i-Construction”と銘打ち、建設現場に積極的にICTを導入することで建設業全体の生産性を向上させる施策を開始して以降、他産業に比べICT化が遅れていると言われていた建築・土木の現場にも、さまざまなコンピュータシステムとデータ収集のためのセンサーが導入されつつあります。読者諸氏が手掛ける現場でも、ICT化の波を日々の業務の中で実感されているのではないでしょうか?
建設業界は少子高齢化の影響もあり、人手不足が顕著になっている業界です。長い間、肉体的にきつい職人の仕事というマイナスイメージを持たれていましたが、最近の建設現場では、女性や外国人が少しずつ増えてきています。今後も、作業員の多様性は加速すると予想されますが、それを支えるのが、高度化するセンサーとその情報を活用するシステムの普及です。建設テック(ConTech)は、省力化・効率化・安全性向上を実現し、建設業をより魅力のある業界に変革していくでしょう。
本連載では、“センサー”という切り口で、建設業における活用方法を紹介していきます。また、現場の方も知っておくべき、「位置検出技術」「画像処理技術」「3次元化技術」といった技術に関しても、トレンドを交えながら解説していきますので、お付き合いください。初回のテーマは、現場での活用が注目されている身近なセンサーを採り上げます。
建設現場での利用が増えてきているスマホ
最近、建設現場でスマートフォンの活用が進んでいるとは感じませんか?スーパーゼネコンでは、2021年度から建築現場を対象に作業員用のスマホを導入している会社もあり、主に作業報告や作業記録などで使われているようです。このように現場での利用が増えてきているスマホは、さまざまなセンサーの塊ということができます。
では、スマートフォンにはどのようなセンサーがついているのでしょうか。まず一番使う機会が多いのはカメラでしょう。カメラ自体は初期のスマホから搭載されていましたが、性能は格段に上がっています。いまや2000万画素は当たり前で、一眼レフカメラに匹敵する解像度で撮影ができるようになっています。また、動画も4K画質で撮れるのが標準で、8Kを撮影できる機種も販売されています。さらにはスマホの通信速度も劇的にスピードアップしたこともあり、4Kや8Kの高精細な画像をリアルタイムに共有することができます。そのため、かつてはハードルの高かった遠隔臨場などの技術が、建設現場でも活用され始めているのです。
カメラという点では、通常のカメラとは異なる機能を持つカメラも実装が進んでいます。最新のiPhone(2020年度のモデルiPhone12Pro/Pro Max以降、2021年発売のiPhone 13 Pro/Pro Maxにも搭載)では、“LiDAR”と呼ばれるレーザー光を照射し、物体に当たって跳ね返ってくるまでの時間から、物体までの距離を計測するセンサーを備えたカメラが搭載されています。
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