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電力線でネット環境を構築、規制緩和で名大学生寮や地下駐車場などにも導入が広がるパナソニックの「HD-PLC」LANやWi-Fiよりも低コストで施工可(3/4 ページ)

HD-PLCは、電力線を使った通信技術で、既設の電気線に高周波化したデータを乗せて通信を行う。2021年6月30日には、HD-PLCの利用に関する電波法が改正されたことで、これまでは導入が難しいとされていた工場などの大型施設や地下駐車場へも、従来よりもコストを抑えた形でネット環境を整備することが可能になった。

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■マンション地下駐車場

 プラグインハイブリッド車や電気自動車が普及し、自動車用の充電設備を備えた駐車場が増えている。自動車用の充電器は、使用状況のデータを収集して管理センターへ送信する。そのため、データ通信が可能な場所にしか設置できないのが課題だった。

 例えばマンションの地下駐車場では、携帯キャリアの電波を利用したデータ通信ができない。また、無線や有線のLAN導入も困難となる。地下では壁や天井の穴あけ工事が難しいためだ。このために、充電器の設置を諦めることが多かった。

 HD-PLCは、こうした課題の解決策にもなる。地下駐車場に設置されたコンセント、または照明などの電源にHD-PLCアダプターをつなげば、簡単にインターネット環境が構築できる。セミナーでは、地下1階と地下2階の駐車スペースに、HD-PLCアダプターを取り付け、管理室のルーターからネット接続するシステム構成を紹介した。


電波が届かずLAN工事が難しい場所でも、HD-PLCなら導入が可能 提供:パナソニック ライフソリューションズ社

■距離が離れた場所に監視カメラを設置

 陸上競技場などの広い場所に監視カメラを設置する際は、カメラと管理棟までの距離があることが多いので、LANケーブルでは工事が大掛かりとなってしまう。しかし、HD-PLCならば、手軽かつ短時間でカメラ設置が実現する。

 鹿児島県曽於郡大崎町にあるスポーツ合宿拠点「ジャパンアスリートトレーニングセンター大隅」での監視カメラ設置例では、施工時にまだ三相3線式による利用が認められていなかった。そのため、倉庫から分電盤までの約200メートル間に電力線を引き、その両端にHD-PLCアダプターをつないだ。LAN配線では、100メートルごとにハブを設置しなければならないが、電力線であれば不要となり、LANに比べ配線作業も簡単で済む。

 グランドの監視カメラは、照明ポールに取り付けられており、当然ながら照明には電源が接続されている。現在は、法改正によって三相3線でのHD-PLCの接続ができるので、同様のグランドでは新しく電力線を引く必要はない。


HD-PLCを用い、離れた場所の監視カメラと管理棟を接続 提供:パナソニック ライフソリューションズ社

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