重りを用いた工事振動の低減技術「GMD工法」をNETISに登録、戸田建設:制振
戸田建設は現在、工事振動・交通振動の低減技術「GMD(Ground Mass Damper)工法」を国土交通省が運用する「新技術情報提供システム(NETIS)」に登録したことを機に、積極的な技術情報の公開や国土交通省発注工事への技術提案と適用を行い、GMD工法の利用拡大を推進している。
戸田建設は、工事振動・交通振動の低減技術「GMD(Ground Mass Damper)工法」を国土交通省が運用している「新技術情報提供システム(NETIS)」に2021年6月16日に登録した。
施工のスピードと経済性にも優れ従来の問題を解消
これまで工事振動を抑制する方法には「振動の発生自体を抑える手法」と「地盤を揺れにくく改良して振動の伝達を妨げる技法」が存在した。しかし、振動の発生自体を抑える手法は、低振動の施工機械を用いて、揺れをなるべく発生させないように施工しなければならないため、工事のスピードが低下する。
一方、地盤を揺れにくく改良して振動の伝達を妨げる技法では、地中防振壁や防振溝などを使用するが、十分な効果を得るためには大規模な土工事が必要でコストが高く、仮設工事の振動対策としては適用が難しかった。
上記の課題を解消するために戸田建設はGMD工法を開発した。GMD工法は、「重り(重量物)」を地表面の最適な位置に適した状態で設置するだけで実現する振動対策。具体的には、重りの慣性(振動発生前に静止状態にある重りが静止し続けようとする働き)が地表面の上下動に抵抗し、振動の伝達を阻むことで、工事の振動を抑制する。
さらに、これまでの方法で問題だった施工のスピードと経済性にも優れており、工事後の現状復帰も、重りを撤去するだけの簡単な作業であるため、仮設工事でも使いやすい。
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