移動しつつ対象物をスキャン可能なスキャナー、点群データとカラー画像を同時取得:メンテナンス・レジリエンス OSAKA 2021
ライカジオシステムズは、手に持って移動しつつ、対象物の点群データとカラー画像をスキャニングするハンディ型イメージングレーザースキャナー「LEICA BLK2GO」を2021年中に発売する。
点群データに関するサービスを扱う会社などでは、建物内や構造物の点群情報を取得する際に、三脚に固定するタイプのレーザースキャナーを使用するケースが多い。三脚固定式のレーザースキャナーは、高精度で点群情報を得られるが、カバーする範囲が狭く、1フロアの点群データを取得するのに数十回スキャニングしなければならないため、作業時間が限定されると対応できないケースが多々ある。さらに、斜面や状態の悪い地面では、三脚が安定しないため、スキャニングすることが難しい。
上記のような問題を踏まえて、ライカジオシステムズは、手に持って移動しつつ、対象物の点群データとカラー画像をスキャニングするハンディ型イメージングレーザースキャナー「LEICA BLK2GO」を開発した。同社は、メンテナンスと国土強靭化(ナショナル・レジリエンス)をテーマに掲げた建設総合展「メンテナンス・レジリエンスOSAKA 2021」(会期:2021年7月14〜16日、インテックス大阪)内の「BIM/CIMツール特集」でLEICA BLK2GOをPRした。
1秒間に42万点の点群情報を取得
LEICA BLK2GOは、1秒間に42万点の点群情報を取得するとともに、搭載された高解像度カメラで1200万画素のカラー画像を得られる。スキャン範囲は水平360度/鉛直270度で、1回のスキャンニングにより数百メートルのエリアで点群とカラー画像を獲得する。操作は、ボタンを1度押すだけで容量の限界までスキャニングする「ワンボタンオペレーション」を採用している。
LEICA BLK2GOで得られた画像は、本体に残せる他、iOSもしくはAndroidのOSを搭載した端末と無線通信することで、専用アプリ「BLK2GO Live アプリ」により、リアルタイムに確かめられ、充電状況といった機器の状態やデータの管理も行える。
ライカジオシステムズの担当者は、「LEICA BLK2GOは、三脚固定式のレーザースキャナーと比較して点群の精度は劣るが、移動しつつ高速でスキャニング可能なため、業務時間が限られる条件で、建物の内部や外観を把握する点群情報を取得する用途に最適だ。また、手に携帯して動きながら使えるため、森林など路面の状態が悪い環境でのスキャニングでも役立つ」と説明した。
LEICA BLK2GOの筐体にはアルマイト加工処理を施したアルミニウムを採用。サイズは、高さが279ミリで、直径は80ミリ。重さは650グラム。内蔵メモリは、24時間スキャンタイプと6時間スキャンタイプの2種類。バッテリーは交換可能な充電式リチウムイオン電池で稼働時間は45〜50分。レーザークラスは1で、レーザー波長は830ナノメートル。
動作環境は、屋内と屋外での使用に対応し、動作温度は0〜40度で、防塵(じん)/防水能力はIP54に相当。データ転送は無線通信もしくはUSB3.0を介して可能。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 3D計測の点群データとVRを活用した新たな文化財研究/展示手法
ライカジオシステムズは、同社の3Dレーザースキャナーを用いて取得した点群データでVRコンテンツを作成し、展示会の来場者に公開する取り組みを始めている。建物内外を短時間で3D計測し、VRデータ化する技術は、魅力的な一般展示と効率的な文化財研究の両面から活用が期待できる。 - プラント設計を効率化する点群と3DCADの融合、VR機能で合意形成やプレゼンも
高精度の3Dレーザースキャナーが建築の現場を大きく変えつつある。レーザースキャンによって得られる点群データは、現場の状況を忠実に表す。点群データがあれば、現場全体を3Dモデル化することもでき、仕様や設計の変更などに際してもスピーディな対応が可能となる。しかし、そのためには少なからぬコストと労力が必要になる。ジェイコフでは、現場でスキャンした点群データと3DCADによる3Dモデルを融合させ、事前の打ち合わせやプレゼンテーションなどの効率化を実現している。 - 4万個のブロック計測を一晩で、3Dスキャンで精度も50倍
JR東海は河川内橋脚の傾斜を防ぐ「根固めブロック」の位置情報を、3Dレーザースキャナーを活用して高精度に計測できるシステムを開発した。従来1週間程度かかっていた計測期間を、約1日に短縮できるという。 - 高精度レーザースキャナー搭載型ドローン「LS1500R」や発売に先立ち“折り畳み式”新型機など披露
enroute(エンルート)は、「第5回国際ドローン展」で3次元測量などに用いるハイエンドレーザースキャナー搭載型ドローン「LS1500R」やDJIのカスタム機などを出展した。 - スマホ活用の測量システム、レーザースキャナーとの誤差は約3.7%
日立ソリューションズは、現場の生産性向上を目的に、スマートインフラソリューションを展開している。スマートインフラソリューションは、IoTデバイスのデータと空間情報を融合し、作業員や建機の成果や稼働状況を可視化することを目指した事業。活動の一環として、スマートフォンを活用した計測システム「Solution Linkage Survey」を日立建機と開発し、2018年10月にリリースした。 - 3Dレーザースキャナーで橋梁を自動検測、施工管理者の作業時間を半分以下に
三井住友建設は3Dレーザースキャナーを用いた橋梁の出来形検測システムを開発した。既に実際の現場に適用し、施工管理者が検測作業に拘束される時間が半減され、生産性が2倍に向上することを検証したという。