3Dレーザースキャナーの基礎知識と点群データの有効活用法:設備、プラント関係者の方必見 点群取得と活用術セミナー(1/2 ページ)
ライカジオシステムズは、3Dレーザースキャナーの基礎知識や取得した点群情報の有効活用法を紹介し、3Dレーザースキャナーや点群データ処理ソフトの普及を推進している。
オートデスクとライカジオシステムズは2019年12月、都内で、勉強会「設備、プラント関係者の方必見 点群取得と活用術セミナー〜計測、BIMモデル化、干渉チェック、VRまで〜」を共催した。
当日の演目のうち、ライカジオシステムズ 営業支援部 新発田知哉氏が行った講演「最新の3Dレーザースキャナーによる点群取得とデータ処理」をレポートする。新発田氏は、3Dレーザースキャナーの基礎知識や3Dレーザースキャナー「Leica RTC360」の概要、クラウド型プラグインソフト「Leica CloudWorx」を用いた点群データの有効的な利用方法を紹介した。
コンペンセーターが無い場合は最低3点のターゲットが必要
3Dレーザースキャナーは、レーザーを用いて対象物をスキャニングすることで、計測対象の表面形状を3D空間情報として取得し、レーザーが透過するガラスや水は測定が難しい。基本構造として、3Dレーザースキャナーから照射されたレーザーが対象物に反射して、3Dレーザースキャナーに戻って来るまでの時間を測って距離に換算する。対象物のスキャニングには、プリズム(リフレクター)に反射したレーザーを受光する方法と、対象物の表面で乱反射したレーザーを受光する方式がある。
3Dレーザースキャナーで、指定した建物の点群データを得る手順は、まず3Dレーザースキャナーの本体もしくは専用アプリでスキャンする範囲を設定し、スキャニングする。1回のスキャニングで全てを測ることが難しい場合は、3Dレーザースキャナーの位置を変えて、部分的にスキャニングした後、合成ソフトでつなぎ合わせて、建物全体の点群データを作成する。
点群データの合成方法は、目印となるターゲットを使用する方法と、点群データがオーバーラップする部分をつなげる方式がある。ターゲットを使用する方法は、コンペンセーター(傾斜補正装置)を搭載した3Dレーザースキャナーを使う場合、Z軸が固定されるためターゲットの位置情報が最低2点あれば合成したい点群データとつなげられる。コンペンセーターを装着していない3Dレーザーは、ターゲットの位置情報が最低3点無いと対象の点群データと合成しにくく、複数のターゲットを配置する時は、点群の取得精度を下げないために、並列させない必要がある。
点群データがオーバーラップする部分をつなげる方式は、合成ソフトで2つの点群情報がオーバーラップするエリアを調整して接合する。同方式で高精度な合成を実現するためには、オーバーラップする箇所が幾何学形状であることやオーバーラップ率が20〜50%であること、点群データが3方向で対象の点群データとバランス良くオーバーラップすること、用途に合った点群密度であることが求められる。
新発田は、「高密度な点群を得るためには、対象に接近して、3Dレーザースキャナーでスキャニングする必要があるが、近づき過ぎてスキャニングすると、対象の表面に対して、レーザーの入射角が浅くなり、点群密度が粗くなる。高精度でスキャンニングするためには、対象物と最適な距離でスキャニングすることが必須だ」と説明した。
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