橋梁などのひび割れ点検を暗所でも高所でも行える新システム:メンテナンス・レジリエンス OSAKA 2021
西日本高速道路エンジニアリング九州は、橋梁などの初期点検や調査などで役立つソリューションとして、デジタル顕微鏡による高精度ひび割れ幅計測システム「オート君」を開発した。
これまで、NEXCO西日本グループの西日本高速道路エンジニアリング九州は、橋脚(きょうきゃく)や橋梁(きょうりょう)のひび割れ点検では、専用の定規「クラックスケール」を対象に当て、デジカメで撮影し、撮った画像を基に事務所で報告書を作成していた。
しかし、この手法は、日中でも暗い橋脚や橋梁下部では、クラックスケールが見づらく、スタッフによって測定結果にバラツキが生じる他、撮影した画像のピントがずれている場合などには、再計測が求められるケースがあった。
上記のような問題を解消するために、西日本高速道路エンジニアリング九州は、デジタル顕微鏡におる高精度ひび割れ幅計測システム「オート君」を開発した。同社は、メンテナンスと国土強靭化(ナショナル・レジリエンス)をテーマに掲げた建設総合展「メンテナンス・レジリエンスOSAKA 2021」(会期:2021年7月14〜16日、インテックス大阪)内の「インフラ検査・維持管理展」でオート君を披露した。
最小計測値0.25ミリという詳細な測定が可能
オート君は、専用のソフトウェアとデジタル顕微鏡で構成されるもので、専用のソフトをタブレットにインストールして使用する。作業手順は、専用のソフトをインストールしたタブレットとデジタル顕微鏡をWi-Fi通信で接続し、デジタル顕微鏡で対象の橋脚や橋梁のひび割れを撮る。撮影した画像は、タブレットに保存され、専用のソフトを用いて、拡大表示でき、画像上のひび割れ両端の2点をタップすることで、最小計測値0.25ミリという詳細な測定が行える。
デジタル顕微鏡は照明を搭載しており暗所でも対象部を鮮明に撮れ、撮影した画像はその場でタブレットの専用ソフトですぐに確かめられるため、画像の質が悪くても迅速に撮り直せる。
西日本高速道路エンジニアリング九州の担当者は、「専用ソフトに搭載された円状デジタルクラックスケールは、回転や移動に応じ、さまざまな向きや長さのひび割れを測れる。円状デジタルクラックスケールで測ったひび割れの計測幅はタブレット内に残せる」と機能を述べた。
また、デジタル顕微鏡は、専用の長尺伸縮棒に取り付けることで、手が届かない橋梁箱桁内の床版下面やC-BOX頂板といった部分のひび割れを測れ、こういった箇所の計測でこれまで必要だった脚立と高所作業車を不要にした。
専用ソフトの推奨環境に関して、対応OSはWindows10(64bit)で、モニター解像度は1280×800以上。メモリは4GB以上で、通信方法はWi-Fi。
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