鹿島とケミカルグラウト、新たな自在ボーリング技術「NaviX工法」開発:施工
鹿島とケミカルグラウトは、新たな自在ボーリング技術「NaviX工法」を開発した。高周波振動による削孔機構と特殊な削孔装備によって改良し、硬質地盤・障害物への対応、曲線半径10mの急曲線削孔を実現するなど、施工の自由度を向上した。
鹿島建設とケミカルグラウトは、新たな自在ボーリング技術「NaviX(ナビックス)工法」を開発した。本工法は、両社が開発した地中障害物を迂回して三次元的に削孔制御できる曲りボーリング技術「CurveX(カーベックス)工法」を、高周波振動による削孔機構と特殊な削孔装備によって改良し、施工の自由度を向上した。
近年、大地震に備えたインフラの耐震化(地盤補強)工事の促進などに伴い、多様な地盤条件下での削孔ニーズが増えている。CurveX工法では、N値30以下の比較的軟質な地盤しか削孔できず、技術開発が求められていた。
また、液状化対策工事の対象となる埋立地盤は、大きな礫やコンクリートの塊が障害となり、削孔に時間を要し、削孔ロッドをいったん引き抜き、再度削孔を行うこともあった。
同工法では、削孔ロッドに高周波振動を与えることで地盤削孔能力を向上した。また、硬質地盤・障害物削孔に対応した先端ビットを開発し、N値80以下の多様な地盤の削孔を可能にし、コンクリートの削孔は厚500ミリメートルまでとした。
耐摩耗性能を向上させた特殊な細径の削孔ロッドの採用により、前工法では30mであった曲線半径を10mに縮径し、急曲線への対応した。
従来30度であった施工機の削孔ロッドの地盤への入射角度を45度とした。
削孔ロッドの供給・接続、削孔ロッドの抜管時のロッドの洗浄・格納は自動で行う。これにより、従来2人必要だったロッド接続作業員は不要となり、ボーリングマシンオペレータ1人で作業を完結できる。さらに、位置検知センサーの挿入・計測自動化も実現し、総合的に省力化した。
実証施工では、N値80程度の硬質な砂礫地盤で線形を修正しながら50メートルを削孔し目標地点に到達可能なこと、N値30程度の地盤を90メートル削孔しその先に設置した厚さ400ミリメートルのプレキャストコンクリート板の貫通削孔が可能なこと、さらに、曲率半径10メートルの急曲線の削孔も可能なことを確認した。
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