マンション再生の円滑化に向けて──法令動向を読み解く:マンション建て替えフォーラム(4/4 ページ)
戦後高度成長期に供給された多くの集合住宅が老朽化し、各地でさまざまな問題を引き起こしている。「高経年マンション」と呼ばれる老朽マンションの再生は、社会課題となり、法制度の整備や民間事業者による建て替えなど、さまざまな取り組みが活発化している。2021年6月4日に開催された「マンション建て替えフォーラム」は、各当事者が多様な取り組みについて紹介するオンラインセミナー。その中で、国土交通省 宿本尚吾氏の基調講演を採り上げる。
マンションストック長寿命化等モデル事業
こうした改正法の施行を円滑に進めるため、国土交通省は各種補助事業で応援している。宿本氏によれば、マンションストック長寿命化のための改修・建て替えで、モデル的・先導的取り組みを進める管理組合を、計画策定や実際の改修工事・建て替え工事を支援しているとのことで、代表的な採択プロジェクト3件を紹介。
4階建上部に一層増築して、5階にサービス付き高齢者住宅を増築するという計画支援型の事例に、災害時の停電に備えた防災減災対策の改修工事を実施する工事支援型。そして、建て替えとともに敷地分割事業を導入し、余剰地を戸建て住宅用地として売却しようという建て替え工事支援型である。
マンション管理については、日常管理の適正化と老朽化した際の建替え円滑化の双方が重要になってくる、と宿本氏はあらためて強調する。「マンション管理組合にはさまざまな立場と考えや年代の方がおられ、改修や建て替えの回答を即座に一致させるのは困難を極める。そうしたとき、要除却認定の仕組みやその判断基準は、技術的側面から客観的に判断されるものであり、建設的な議論の背中をそっと押すような効果が期待されている」。宿本氏自身もそうした運用が実現できるように、今後も詳細な検討を進めていきたいと力強く述べ、基調講演を終了した。
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