afterコロナ後「絶滅恐竜」にならないための建設DX、日揮HDの「ITグランドプラン」や東芝EVの「全工程BIM活用」:COVID-19(2/5 ページ)
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、一気に進展したここ最近の働き方改革では、各社ともに、在宅勤務やテレワークの導入だけに注目されることが多い。しかし、その先のafterコロナ後の世界では、ワークプレースを柔軟に選択できる“ハイブリッドワーク”が基軸の考えとなり、実現に向けた業務の効率化や自動化といったデジタル変革は、建築やエンジニアリングの分野でも、避けては通れないものになるだろう。オートデスク主催のセミナーから、IDC Japanによるハイブリッドワークの潮流や日揮ホールディングスの工期2分の1を掲げた全社IT推進、東芝エレベータの維持管理段階も含めたBIM活用などの実例から、如何にしてafterコロナの市場を生き抜くか、ヒントを探った。
キーは、「スペース」「カルチャー」「オーグメンテーション」
IDC Japanでは、「働き方の未来(Future of Workstyle)」のフレームワークを2018年から作成し、現状と未来の市場分析も行っている。働き方の未来では、「スペース」「カルチャー」「オーグメンテーション」の3領域で構成されている。
3つの領域で、IT投資の状況を2019年と2020年で比較してみてみると、「スペース」の分野では、ファイル共有の導入率が、企業規模、建設/運輸/公共/製造の業界別でも、ほぼ全てでダブルスコアとなっており、IDC Japanが測定しているソリューションの中で、最も高い伸び率だった。
「カルチャー」の分野では、勤怠管理のHRツールの導入率が高まっている。これは在宅勤務のときに、上司が部下の働き具合をみるためのPCログ測定など新たなツールが登場したことが影響している。
「オーグメンテーション」の分野では、一番代表的なソリューションの「RPA/IPA」の導入率が高まる一方、「ボット/チャットボット」といったツール導入が急速に進んでいることが判明。ボット/チャットボットは、従業員からの質問に対して、すぐに回答できることから親和性が高く、今後注目すべき自動化ツールとの指摘があった。
これからのIT環境に求められる「デジタルレジリエンシー」
今後、こうした「働き方の未来」を取り巻くIT環境では、“デジタルレジリエンシー”が重視されようになる。デジタルレジリエンシー(回復力)とは、コロナのような社会的な崩壊=ディスラプションが起こった際に、オペレーションを元の状態に回復するだけではなく、デジタルテクノロジーによる破壊的創造「デジタルディスラプション」を自ら起こして、以前よりもより良い形で復元し、イノベーションを進める原動力を意味する。
デジタルレジリエンシーを踏まえ、「働き方の未来」を照らす「スペース」「カルチャー」「オーグメンテーション」の3つの領域でこれからの見通しを推察すると、「スペース」は、ハイブリッドが重要なワードとなる。2030年までに、「Global 2000」企業のうち75%が、オフィスから離れた場所に居ながらも、リアルタイムに協業するハイブリッドな働き方になるだろうと予測。
「カルチャー」では、デジタル人材にスポットが当たり、バックオフィスや営業、マーケティングなど、全ての従業員がデジタル人材となるための教育や環境を整備していかなくてはならない。市川氏が2020年取材した百貨店では、各セクションで必要となる業務上のRPAを現場の従業員が作成し、自分たちで必要に応じて各現場で順次改良している。ローコード/ノーコードでRPAを構築できるツールを導入し、デジタル人材育成のプラクティスとして全従業員が扱える環境が整備され、デジタル人材化が急速に進展している。
「オーグメンテーション」では、オートメーション。AI、ロボティクス、IPAを搭載した「デジタルワーカー」と呼ばれるマシンによって、タスクの自動化が進むことで、人間とデジタルワーカーが協働していく世界が広がっていくことが見込まれる。
最後にIDCから、「在宅勤務を導入・拡大したことに満足するのではなく、afterコロナを予測した働き方の未来の検討に着手すること、その働き方の未来に必要なテクノロジー戦略を再考すること、そしてハイブリッドワークを中心とし、人材教育やデジタルワーカーとの協働、その先にあるDXも視野に入れた働き方戦略を構築すること」の3項目を提言し、締めくくった。
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