「ARES Commander」の新バージョン、更新したBIMモデルの参照で図面の注釈を自動更新:CAD(3/3 ページ)
Graebertは、DWG互換CADクラウドサービス「ARESシリーズ(旧:JDraf)」のうち、PCでDWG互換CADと3Dモデルの作成や編集が行える「ARES Commander」の新バージョン「ARES Commander 2022」を2021年4月1日にリリースした。
図面の修正履歴を確かめられるように
共同作業機能では、図面の修正履歴を確かめられるように「バージョン履歴」や図面がコメント、マークアップ、加工された際にメールを受け取れる「Eメール通知」、図面の状態を定義するスタンプ、受信者が無料で図面をオンラインで見られるURLを作る「表示専用リンク作成機能」を搭載した。
バージョン履歴は、変更箇所の確認や比較、過去図面の復元に応じている。Eメール通知は、通知頻度の管理や音声記録の文字起こし、内容のレポート化、コメントパレットを介して挿入された写真や画像のAI解析によるタグ付けに対応する。図面の状態を定義するスタンプは「承認済み」や「レビュー用」などを用意している。
表示専用リンク作成機能で作ったURLでは、ブラウザベースのインタフェースにより、文字、音声、画像、スタンプを掲載し、フィードバックを返せる。有効期限の日付設定やパスワードでの保護、アクセス制限で情報漏えいも防げる。
また、タブレットとスマートフォン上でDWG互換CADに、施工現場から写真の添付やコメントなどが付けられる「ARES Touch」と、使用デバイスを問わずにクラウド上で、DWG互換CADの作成や編集を実現する「ARES Kudo」をARES Commander 2022と組み合わせて使用するTrinity機能も強化した。
Trinity機能で使えるオンラインストレージが増加
Trinity機能は、オンラインストレージ上の図面をARES Commander 2022やARES Touch、ARES Kudoにより共有および同期することで、オフィスのPCで作成した図面を現場のスマートフォンやタブレット、自宅のPCでシームレスに編集し続けられるようにする。
Graebertは、Trinity機能の利便性を高めるために、無料のオンラインストレージ「ARES Kudo Drive」を開発し、Microsoft製オンラインストレージ「Google Drive」の共有ドライブや「Google Workspace」のDWGファイルをARES Kudoで編集可能にし、オンラインストレージ「Microsoft OneDrive」「OneDrive for Business」「Microsoft SharePoint」に保存されているDWGファイルをARES Commander 2022やARES Touch、ARES Kudoで編集できるようにした。
Graebert Japanの江端氏は、「ARES Kudo Driveは、Trinity機能を試用する際の評価用ストレージだが、性能と拡張性は市場のオンラインストレージと遜色(そんしょく)ない」と説明した。
さらに、Trinity機能を用いて、Trimble製建設クラウド「Trimble Connect」とHancom製オンラインストレージ「Hancom Space」でDWGファイルの保存や編集が行えるようになった。
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