大成建設、材料内部を非破壊で可視化する装置を技術センターに導入:施工
大成建設は、2つの撮影機構により、建設工事で使用するさまざまな材料内部の様子を3次元データで可視化できる「高出力・高精細X線CT試験装置」を同社技術センターに導入し、運用を開始した。
大成建設は、材料内部の様子を非破壊かつ3次元データで可視化できる「高出力・高精細X線CT試験装置」を導入し、運用を開始した。建設工事で使用されるさまざまな材料の特性を把握し品質などを評価することを目的としている。
建設工事で扱う材料は、土、岩石、コンクリートなどの複合材料などがあり、これらの特性を調べるためには、力学試験や浸透試験を行い、両試験の結果を合わせて評価をすることが一般的だった。しかし、各種材料を精密に評価するには、これらの方法に加え、土・岩石内部に浸透する流体の動きやコンクリート構成材料の分布に基づいて生じる実際の現象を正しく理解する必要があり、材料内部の様子を精密に観察することが望まれていた。
同装置は最大で医療用X線CT装置の約3倍の電圧となる高出力を有し、焦点寸法4マイクロメートルの高精細な照射が可能な高性能X線源を搭載し、直径数センチメートルまでの試料の内部構造をミクロンスケールで高解像度に撮影することが可能だ。そのため、繊維補強コンクリート内部の繊維配向など、これまで確認が難しかった材料の内部構造や品質に関わる情報を容易に確認でき、岩石の空隙などについてもミクロンスケールで観察できる。
同装置には、従来、工業用と医療用、それぞれで採用されてきた方式の撮影機構を同一装置に搭載。従来の装置と比較して、各種材料や試験体の大きさ、形状、用途に応じた撮影が柔軟にできることから、内部構造を精密に評価できるとしている。
一般的なX線CT装置では実施困難な大型かつ重量試料などを本装置の試料ステージに設置して撮影が可能だ。試料ステージ上方に十分な空間を確保することで、高さのある試料なども設置できる。
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