3大都市圏の商業地と住宅地の地価はともに下落傾向、三友システムアプレイザル:不動産市況
三友システムアプレイザルは、提携する不動産鑑定士162人に、東京圏や名古屋圏、大阪圏の商業地と住宅地の地価動向に関するインターネットアンケートを2021年2月1〜26日に行い、商業地と住宅地の地価がともに下落傾向にあることが明らかになった。
三友システムアプレイザルは、提携する不動産鑑定士162人に、東京圏や名古屋圏、大阪圏の商業地と住宅地の地価動向に関するインターネットアンケートを2021年2月1〜26日に実施し、結果を「三友地価予測指数」として同年3月29日に発表した。東京圏は東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の1都3県、名古屋圏は愛知県、三重県の2県、大阪圏は大阪府、京都府、兵庫県、奈良県の2府2県が対象。
三友地価予測指数は、商業地と住宅地ともに地価の先行指標となり得る高度利用地を対象に、地価のすう勢を、上昇は100、やや上昇は75、横ばいは50、やや下落は25、下落は0の指数で5段階評価し、指数ごとに回答者の比率を乗じて加算したデータ。
小規模飲食店の廃業などで商業地指数はダウントレンド
三友地価予測指数によれば、商業地指数は、東京圏が43.4で、大阪圏は30.6、名古屋圏は34.6となった。前回の調査と比べると、東京圏が44.1からやや下落し、大阪圏は35.7からダウンして、名古屋圏は33.4からやや上昇しているが、いずれの圏域でも指数は横ばいを示す50.0を下回っており、地価は下落傾向であることが判明した。
上記の原因は、不動産市場に対する新型コロナウイルス感染症の影響で、例えば、損益拡大によるホテルや飲食店などの廃業が関係している。一方、今回のリサーチでは、小規模飲食店が全国的に大きなダメージを受けているのに対し、大規模商業施設の客足は、通常時に近い水準を維持していることが明らかになった。だが、これまでホテル用地としての需要が地価をけん引してきた地域では、地価は軒並み下落に転じている。
商業地指数の見通しに関して、現在の株価上昇は政府の補助金に支えられたものであり、補助金が尽きる1〜2年後にはさらに深刻な不況が訪れ、大幅な地価下落が起きる可能性がある。ただし、資金繰りに窮した企業が資産の流動化を決意すれば、新規に証券化される不動産が増える見込みはあるが、これまで証券化が遅れていた分野で優良不動産の証券化が進めば、既にある証券化不動産の利回りを圧迫することになる。
住宅地指数は優良住宅地を除き下落傾向
住宅地指数は、東京圏が48.7で、大阪圏は45.4、名古屋圏は46.2となった。前回のリサーチと比較すると、東京圏が47.4からややアップし、大阪圏は48.2から下がり、名古屋圏は47.9からやや下降している。従って、商業地と同様に、いずれの圏域でも指数は50.0を下回っており、地価は下落傾向だが、下落幅は商業地よりは小さなものとなっている。
また、全国的に優良住宅地は大きな影響を受けていないことが分かった。しかし、優良住宅地以外の住宅地では、地価は下がり続いている。
<調査の概要>
調査時期:2021年2月1〜26日
調査対象:同社と提携する全国の不動産鑑定士162人
調査手法:インターネットによるアンケート調査
対象者住所の内訳:東京圏は39人、大阪圏は27人、名古屋圏は13人、その他の地方圏は83人
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