次世代型トンネル構築システム開発に向け、切羽監視支援システム実証実験開始:山岳トンネル工事
LeapMindは、清水建設と共同で、トンネル掘削工事現場の切羽近辺での肌落ち災害の防止を目指し、ディープラーニングを活用したクラック検出サポートシステムの構築に向け実証実験を開始した。
LeapMindは清水建設と共同で、トンネル掘削工事現場の切羽近辺での肌落ち災害の防止を目指したサポートシステムの構築に向け実証実験を開始した。
トンネル掘削工事では、掘削面にコンクリートを吹付けて災害を防止するが、吹付けを行っていても、クラックと呼ぶひび割れを発端に落盤・落石などの肌落ちが発生する場合がある。安全確保のため、クラックの出現を切羽監視員が常時目視で監視するが、目視では発見の遅れや見落としがあるため、目視監視に加えて、ICT技術を活用した肌落ち発生の予兆を検知するためのサポートシステムの構築が求められている。実際の肌落ち事故では、被災者の死亡や休業が1カ月以上となる事例があるという。
同システムは、切羽付近に取り付けたカメラで切羽面を撮影した画像を、クラック検出のためPCでリアルタイムに解析し、肌落ちなどの前兆の可能性を検出すると、切羽監視員のタブレット端末へ情報を伝達する。切羽監視員はその情報を基に現場状況を確認し、必要に応じて警報を鳴らす。クラックの検出には、ディープラーニング技術を活用した画像内の全画素に検出対象ラベルやカテゴリーを関連付ける技術であるセマンティックセグメンテーションを採用して検証した。
実験では、当該クラックの発生頻度は低く十分なデータ収集が難しかったため、クラックを付与した模擬データを利用しディープラーニングでのクラック検出の検証を実施し、実環境と同等の状況にてクラック検出が可能であることを確認した。
今後は、ICT技術やAIなどを活用した次世代型トンネル構築システム「シミズ・スマート・トンネル」開発に向け、切羽監視員のサポートに貢献するシステム構築およびそれを活用した運用フローの実現を目指すとのことだ。
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