廃PETリサイクルの高耐久アスファルト改質剤をウエルシアが初採用
花王が開発したアスファルト改質剤「ニュートラック 5000」を、ウエルシア薬局が新店舗の駐車場舗装に採用した。同製品は、耐久性を高めるだけでなく、マイクロプラスチックの発生を抑え、美観も向上するという。
花王は、自社が開発したアスファルト改質剤「ニュートラック 5000」をウエルシア薬局が新店舗ウエルシア藤沢用田店の駐車場舗装で採用したと発表した。ウエルシアは今後、大型車両が多く、高い耐久性が求められる駐車場の舗装に同改質剤の導入を進めていく。
アスファルト舗装は耐久性に課題があり、一般的にアスファルト改質剤で耐久性を高める。花王は、耐久性を約5倍に高めるアスファルト改質剤「ニュートラック 2500」を2019年に発売、今回はこの性能を維持し廃PETを原料としたニュートラック 5000を、2020年12月より新たに発売した。
花王によると、ニュートラック 5000は、アスファルト舗装に1%配合することで耐久性が約5倍向上し、さらに、マイクロプラスチックの発生を抑える効果があるという。
アスファルト舗装は、親油性のアスファルトと親水性の骨材の親和性が低いことが耐久性低下の原因である。廃PET処理のため、アスファルトに廃PETをそのまま砕いて混ぜ込む事例はあるが、舗装の耐久性は向上しない。
ニュートラック 5000は、廃PETと特殊脂肪酸や特殊アルコール、特殊添加剤などを化学反応させ、機能性を有した新たな樹脂プラスチックとして生まれ変わらせている点が特徴だ。花王はさらに、界面制御技術を応用し、樹脂プラスチックがアスファルトと骨材の親和性を高めることに着目して、アスファルト改質剤を開発した。
全自動運転時代では車輪が同じ場所を通るため、アスファルト舗装の劣化速度が早まると考えられ、さらなる道路の耐久性が求められる。
また、ニュートラック 5000を添加したアスファルト舗装は従来より黒い色味で、ドライバーから白線が確認しやすく、安全走行に寄与すると考えられる。また、その色味から店舗の美観を引き立てるという。
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