施工図の設備異常を診断しRevitファイルの読み込みと書き出しが可能な建築設備専用CAD:設備業ITフェア ONLINE 2021(1/2 ページ)
富士通四国インフォテックは、施工図における設備の異状を診断する機能とRevitファイルの読み込みと書き出しが行える機能を備えた建築設備専用CADソフト「CADEWA Smart V2.0」を開発した。
全国設備業IT推進会は、設備分野の最新ソリューションなどを紹介するイベント「設備業ITフェア ONLINE 2021」(会期:2021年2月9〜10日)をオンラインで開催した。
会期中に繰り広げられたセミナーの中から、富士通四国インフォテック デジタルソリューション統括部 CADソリューション部 企画開発グループ 部長代理 三瀬雄嗣氏が行った講演「CADEWA Smart V2.0 品質・時短への寄付率No.1を目指して」をレポートする。
会場では、三瀬氏が、建築設備専用CADソフト「CADEWA」シリーズの新製品「CADEWA Smart V2.0」の機能について説明した。CADEWAシリーズは、富士通四国インフォテックが1987年に販売を開始したもので、日本だけでなく、タイやベトナム、韓国でも展開している。
施工図における23箇所の設備異常を1分で検出
三瀬氏は、建設業を取り巻く環境について、「建設市場は、東京オリンピック以降も大阪万博やリニア新幹線、IRリゾート、大型再開発の案件が控えている関係で、一定の成長が見込まれているが、業界に従事する関係者は2022年以降から次第にマーケットが縮小すると予測している。就業人口に関しては、定年退職を迎えた技能労働者の大量離職と増えない入職者数の関係で、今後も人手不足が続くと見込んでいる。各社で新入社員が増加しないため、図面のチェック方法など技能の継承も難しい状況だ。また、2018年に成立した働き方改革関連法により、2024年4月1日からは残業時間の上限が原則月45時間かつ年360時間以内に制限されるため、作業の効率化は避けられない」と問題を指摘した。
続けて、「こういった課題を解決する一助となるソリューションとして、設備工事の生産向上を実現するCADEWA Smart V2.0を2020年10月30日にリリースした」と付け加えた。
CADEWA Smart V2.0は、施工図における配管の勾配、防火ダンパの吊り数、排水立管と横走り管の接続などにおける異状を確かめられる設備診断機能や部材変換機能、オートデスク製BIMソフト「Revit」との互換機能「Revitダイレクトトランスレーター」を備えている。
CADEWA Smart V2.0が搭載する設備診断機能の対応項目。富士通四国インフォテック デジタルソリューション統括部 CADソリューション部 企画開発グループ 部長代理 三瀬雄嗣氏(右上) 出典:富士通四国インフォテック
「設備診断機能は、施工図における設備の異状を検出し、リストで一覧表示する。リスト上の異常箇所はクリックすることで拡大表示でき、平面図では分かりにくい異常箇所を3Dモデルで確かめることも可能だ」(三瀬氏)。
富士通四国インフォテックでは、CADEWA Smart V2.0が搭載している設備診断機能の効果を確かめるために実験を行った。実験では、あらかじめ図面に基準異常箇所を23箇所仕込み、3人の目視点検による異常箇所の確認とCADEWA Smart V2.0を用いた異常箇所のチェックを実施し、それぞれの所要時間を測った。結果、目視の確認では23箇所に及ぶ異常箇所の検出に1時間かかったが、CADEWA Smart V2.0では1分で全異常箇所の抽出が完了した。
また、作業者の技能を問わず異常箇所を検出可能なことや施工図の段階で異常を見つけられるため手戻りの防止に役立つなどのメリットも明らかになった。
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