建設業の展望を調査、建設業者は老朽化した東京の下水道の整備に期待:調査レポート
JAGフィールドは、建設業界で3年以上働いている1112人を対象に、建設業界への展望についてリサーチした。結果、建設業界が最も力を入れるべきインフラの整備として「老朽化した東京の下水道の整備」や「リニア中央新幹線の開通工事」が期待されていることが明らかになった。
JAGフィールドは、建設業で3年以上働いている1112人を対象に、業界への展望についてインターネット調査を2020年8月19日〜2020年8月20日に行い、同年10月29日に結果を発表した。
インフラ整備では経験の無い若手の人材にニーズ
調査結果によれば、「建設業界は景気をけん引する仕事だと思うか」と、対象者に質問したところ、「はい」と答えた人は全体の73.9%で最多となり、「いいえ」と回答した人は全体の26.1%となった。
具体的にどのような建設業の仕事が景気の刺激策となりうるか対象者に聞くと、「複合施設やランドマークを建設する(30代/男性/東京都)」「高速道路のリニューアルで行き来を増やす(30代/女性/宮城県)」「老朽化したインフラの整備(40代/男性/愛知県)」「地方の公共事業増による活性化(50代/男性/鳥取県)」「老朽化した建物・橋などの建て替え(50代/男性/愛媛県)」といった声が寄せられた。
「建設業界がこれから最も力をいれてくべきインフラの整備(再整備)とは何が挙げられるか」という質問で、最も多かったのは全体の30.7%が答えた「老朽化した東京の下水道の整備」となった。次いで、「リニア中央新幹線の開通工事」が21.5%、「首都高速の再整備」が20.5%、「大阪万博によるインフラ整備」が10.9%、「東京メトロによる銀座線全駅リニューアル計画」が3.4%と続いた。
「インフラ整備(再整備含む)にはどのような人材が欠かせないと思うか」という質問で、最多だったのは、全体の63.6%が回答した「経験のある技術者(エンジニア)」。次に「経験・未経験問わず若い人材」が25.1%、「経験や年齢は問わない」が9.6%となった。
経験のある技術者が求められている一方で、経験ではなく若手の人材も求められていることが判明した。
「これからの建設業界に期待していることは何か」と複数回答可能の条件で対象者に質問したところ、最も多かったのは、全体の50.1%が答えた「インフラの整備(再整備)」だった。次いで、「公共事業の活発化」が39.8%で、「建設業界のICT化が」33.3%、「AIなどの活用による人手不足の解決」が22.9%、「テレワークなどの働き方の変化」が13.9%となった。
さらに、建設業界のこれからに期待している理由について対象者に尋ねると、「公共事業ならば貢献しやすくやりがいがある(20代/女性/埼玉県)」「全国各地でインフラが老朽化しており、更新の必要が生まれているため(30代/男性/兵庫県)」「インフラ再整備は将来の世代に対しても恩恵が残るものだから(40代/男性/茨城県)」「便利な世の中になっても誰かが頑張らないと日本の国土と便利さは維持できないから(50代/男性/千葉県)」といった意見が届いた。
<調査の概要>
調査時期:2020年8月19日〜2020年8月20日
調査対象:建設業界で3年以上働いている方
調査手法:インターネットによるアンケート調査
アンケート回収数:1112人
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 施工管理業務の実態を調査、アナログ作業が多いことやリモートワークの拡大が明らかに
ワークスモバイルジャパンは、建設業などで勤務する施工管理者1568人と現場作業者1537人を対象に、インターネットを用いて実態調査を行った。結果、施工管理業務の多くをアナログ作業で行っていることや緊急事態宣言以降、リモートワークでカバーする仕事が増えたこと、連絡手段として電話とメールが多様されていることが判明した。 - 「学校基本調査」に見る新卒者の建設技術者への就職動向
本連載では、ヒューマンタッチ総研が独自に調査した建設業における人材動向について、さまざまな観点で毎月レポートしている。今回は、文科省の「学校基本調査」をベースに、建設業界に入職する学生数についての人材動向をレポートでまとめている。 - 建設業は全産業で人材不足感が最多だが、技術者・技能工はコロナで低下傾向
ヒューマンタッチ総研は、国内における建設業の人材市場動向をまとめた2021年1月分のマンスリーレポートを公表した。今月のトピックスでは、厚労省の「労働経済動向調査」を基に、建設業における労働者の過不足状況を分析している。 - 【新連載】アットホームラボ調査レポ「コロナ禍でどう変わった?2020年の不動産市況を振り返る」
本連載では、不動産に関する各種データや不動産仲介の現場から集めたリアルな声をもとに、アットホームラボの磐前淳子氏が最新の市場動向について解説していきます。 - コロナ禍で新築と中古の住宅市場は低迷するも、リフォームのニーズは増加
LIFULL HOME'S総研は、コロナ禍における新築住宅と中古物件の市場動向を調査した。結果、新築と中古の住宅市場ともに、売上が低迷していることを明らかにした。一方、新型コロナウイルス感染症の影響で、住み替えしにくい状況から、居住性と機能性を向上する改修ニーズは高まっており、リフォームを検討するユーザーが増加していることも判明した。 - 2020年の建設技術者を取り巻く“雇用環境”を振り返る、ヒューマンタッチ総研
本連載では、ヒューマンタッチ総研が独自に調査した建設業における人材動向について、さまざまな観点で毎月レポートしている。今回は、2020年の建設技術者の雇用環境について、2020年の動向を総括している。