「中小工務店は全体の10%未満」、ZEH協が最新動向とZEH-M成功事例を解説:マンションビジネス総合展2020(1/2 ページ)
ZEH(Net Zero Energy House)推進協議会は新築注文住宅のZEH供給について調査した。結果、ハウスメーカーでは供給する新築物件のうち、約50%がZEHである一方、中小工務店は供給する新築住宅のうち、10%未満がZEHと水準が低いことが判明した。
ZEH推進協議会(ZEH協) 高度エネマネ委員会 委員長 加納公生氏は、マンションの設計・施工や修繕、管理に役立つソリューションが展示された専門展「マンションビジネス総合展2020」(会期:2020年9月24〜25日、東京ビッグサイト)で、「ZEHの最新動向と施主視点でのZEHマンションについて」と題した講演を行った。
中小工務店のZEH供給は全体の10%未満
ZEH推進協議会は2017年7月に設立した団体で、建築物省エネ法やエネルギー基本計画、地球温暖化対策計画に関連する住宅における省エネルギー施策の目標を掲げている。主な活動内容は、一般会員企業のZEHビルダー向けセミナー開催や情報提供、ZEH成功事例を学べる視察研修会の実施など。2020年8月時点で一般会員は203社に及び、賛助会員は46社。
ZEHビルダーとは、受注する住宅のうち、Nearly ZEHを含むZEHが占める割合を2020年度までに50%以上の事業目標を掲げる工務店やハウスメーカーなどで、経済産業省に登録された事業者を指す。ZEHビルダー数は2、020年8月末時点で約7600社となっている。
一方で政府は、2050年までにCO2の排出量を80%削減するために、ZEHの普及を推進している。とくに環境省では、2018年に発表した長期ビジョンにおけるエネルギー消費量削減の項目で、CO2の排出量を80%カットするためには、住宅のZEH化が必要だと示している。
加納氏は、「国内における最終エネルギー消費は、1973年と2017年を比べると、全体で1.2倍に増加し、家庭部門は2倍に増えた。家庭でのエネルギー消費量を抑えるため、政府はZEHの普及を後押ししている」と現況を説明した。
さらに、「政府は、2014年4月に第4次エネルギー基本計画でZEHの普及計画を閣議決定。続く、2018年7月に公表した第5次エネルギー基本計画では、より具体的な目標として、2020年までにハウスメーカーなどが新築する注文戸建て住宅の半数以上をZEHとし、2030年までに新築住宅の平均数でZEH化を進めている」と付け加えた。
ZEH普及の課題について、加納氏は、「新築注文住宅のZEH供給は、ハウスメーカーでは全体の約50%がZEHである一方、中小工務店は全体の10%未満と水準が低い。今後、ZEHが普及するためには、ハウスメーカーのさらなるZEH供給割合の上昇と、中小工務店におけるZEH実績の積み上げが重要になる」とした。
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