佐賀県で延べ5万超えのマルチテナント型物流施設を開発、大和ハウス工業:プロジェクト
大和ハウス工業は、マルチテナント型物流施設「DPL鳥栖」の開発を開始した。DPL鳥栖は佐賀県で同社初のマルチテナント型物流施設で、最大3社のテナントが入居でき、九州エリアを商圏とする企業だけではなく、全国展開する企業の九州における主要物流拠点としても期待される。
大和ハウス工業は2020年5月14日、鳥栖市と、物流施設開発に関係する「轟木工業団地への進出に関する協定」と「環境保全協定」を締結し、佐賀県鳥栖市でマルチテナント型物流施設「DPL鳥栖」を開発することを発表した。
九州全域に配送可能な物流拠点の適地
DPL鳥栖は、RC造・S造地上2階建てで、延べ床面積は5万418.06平方メートル。所在地は佐賀県鳥栖市宿町字平塚753番1、轟木町字二本松1620番5他で、敷地面積は4万6779.11平方メートル。設計・施工は竹中工務店が担当し、着工は2020年5月15日で、竣工は2021年4月30日を予定している。
DPL鳥栖は、マルチテナント型物流施設で、マルチテナント型物流施設は、複数企業の入居を想定した汎用倉庫で、テナント企業は建設費や維持管理費を抑えて物流事業を展開することができる。自社専用に建設するBTS型物流施設と比べ、事業開始までの期間を短くすることが可能で、物流ニーズの多様化により、急速に変化する事業環境の中でスピーディーに事業を進められる。
DPL鳥栖が建設される轟木工業団地は、九州自動車道「鳥栖インターチェンジ」から約4キロと近接しており、九州自動車道や長崎自動車道、大分自動車道の交通結節点となる「鳥栖ジャンクション」を通って九州全域に配送可能だ。
また、「福岡空港」「九州佐賀国際空港」「博多港」まで自動車で約1時間圏内と陸路輸送だけではなく、空路・海路輸送においても優れた場所で、JR貨物の「鳥栖貨物ターミナル駅」まで約3キロの立地なため、鉄道貨物輸送によるモーダルシフトへの取り組みも推進できる。
さらに、JR「新鳥栖駅」からも約1キロの位置にあり、周辺住宅地の就労者にとって職住近接の環境を提供可能な他、物流エリアの広域化と複雑化への対応や安定した雇用の確保といったテナント企業のニーズに応えられる。
大和ハウス工業では、九州で2014年5月に、福岡県初のマルチテナント型物流施設「DPL福岡糟屋」を開発して以降、九州最大級のマルチテナント型物流施設「DPL福岡宇美」など計5棟・延べ床面積約25万平方メートルのマルチテナント型物流施設を開発してきた。そして、九州全域への物流を展開したいユーザー向けにDPL鳥栖を開発することとした。
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