伸び悩む工務店でデジタルシフトが必須な理由、コロナで変わった工務店選びの現状:第5回 住宅・ビル・施設 Week(2/2 ページ)
SOUSEI Technologyは、このほどマイホームアプリ「knot」の導入ビルダー数が800社を超えたことを発表した。採用社数の拡大と売り上げが伸び悩む工務店を対象に、デジタルシフトを後押しするため、knotを展示会などでPRしている。
新規顧客獲得のためには工務店の認知度向上は必須
セミナーの後半では、乃村氏が、伸び悩む工務店が知らなければならないこととして、認知と強みの関係、下請けの考え方から元請けの思考に切り替えることについて言及した。
2015年以前は、住宅探しに「SUUMO」や「HOME'S」といった不動産情報サイトを使用し、工務店選びには専門誌を活用するユーザーが多かったが、2016年以降は、工務店を選択するために、「Instagram」「Facebook」「Pinterest」といったSNSや企業向けPRツール「Google My business」を利用するケースが増えている。
「2015年以前の家探しは場所と値段を決めてから進めることが主流だったが、Instagramが普及してからは、ライフスタイルや価値観などで住まいを決める顧客が増え、Instagramで理想の家を作れる工務店を調べる人も増加した」(乃村氏)。
乃村氏は、ビルダーが新規顧客に認知され続けなければいけない背景について、「工務店にとって知られることは最重要事項だが、伸び悩むビルダーは知られるということを軽視している。文房具店やスーパーマーケットなど頻繁に通う場所は認知度を気にしなくて良いが、工務店の利用者は全て新規顧客のため、ターゲット層に知られ続けられなければならない。認知されるために大切なのは、経営する工務店の強みを作り、InstagramやFacebook、Pinterest、Google My business、SUUMOといったチャネルで訴求することで、作成したコンテンツや長所にインパクトがあり、knotのチャット機能を用いて継続的に顧客とコミュニケーションをとることも大事だ」と警鐘を鳴らした。
また、乃村氏は、他の工務店と差別化するために、ブランディングが効果的だとしている。ブランディングは、高額品向けの取り組みで、商品に感情移入しやすいストーリーを作り、顧客の感情を揺さぶり実売につなげる手法で、例えば、物件のブランディングでは、優れたC値とUA値を実現したバックグラウンドや取り組みをストーリーにして顧客に伝える方法がある。
「戸建て住宅は近年、各ビルダーが新しい部材や技術を採用している影響で、性能で差異化を図ることが難しくなっている他、C値やUA値の数値をエンドユーザーにそのままアピールしても、理解が困難で評価につながらないため別のブランディングが必須だ」(乃村氏)。
下請けの考え方から元請けの思考に切り替えることについて、乃村氏は、「収益が上がらない工務店は、下請けビジネスの発想で、元請け事業を展開している。下請けの考え方とは、法人が対象で、やりとりする顧客の年齢は50〜60代を想定しており、受注は受けるものが当たり前で、インターネットの情報を軽んじ、価格で競争し、利益が小さいことを良しとしている。一方、元請けの思考は、個人をターゲットにし、顧客の年齢は20〜30代と考え、受注は自ら創出し、インターネットの情報を重視して、厳しい利用者の獲得競争で勝ち、高い利益を得ることを最良とする」と違いを語った。
加えて、「20〜30代の顧客は、デジタルネイティブ世代で、思春期からスマートフォンを使っており、記憶と記録をデジタル空間に残すことが日常的に行っている。また、工務店を検索する際は、Googleにキーワードを入力し、Google My businessで、所在地から近い店舗を調べる傾向があるなどを理解して、ビルダーは認知戦略や営業対応を熟考しなければならない」と補足した。
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