環境表面の自動除菌設備シリーズに持ち運びタイプを追加、大林組:製品動向
大林組は、環境表面の自動除菌設備「マルチミスト」シリーズに、あらかじめ圧縮空気の配管が設けられた部屋に適用でき、持ち運びが可能なタイプ「カセットミスト」を追加した。
大林組は同社のHPで、利用者の不在時に環境表面を自動で除菌する設備「マルチミスト」の新たなラインアップとして持ち運びが可能な「カセットミスト」を開発したことを2020年10月29日に公表した。
タイマーによる自動運転も可能
近年、感染症対策の一環として、家具や備品に付着した菌を取り除く「環境表面除菌」に対する関心が高まっており、教育施設などでは、安全な空間確保のために、日々清拭(せいしき)作業を行う施設が増えている。しかし、清拭による除菌は、作業者に負担がかかる上、手の届く範囲しか清掃できないため、業務を効率化するソリューションが求められていた。
そこで大林組は2015年にマルチミストを開発した。マルチミストは、次亜塩素酸と圧縮空気を混合させ、粒子径約10マイクロメートルの微細なミストとして噴射することで、室内の湿度を除菌に有効な80%以上に上昇させる。
1部屋当たり1時間程度で有効な湿度に達するため、夜間など人が居ない時間帯にマルチミストを作動させることで、翌朝には除菌された状態で部屋を使える。また、手作業では拭ききれない細部も短時間で効率的に除菌可能で、作業者自身が菌やウイルスと接触する機会を最小化できる。
既に第三者機関で行った試験で除菌効果を確認しており、病院や保育園にも採用され、高い評価を得ている。試験では、試験菌を付着させたシャーレを試験チャンバー床面の中央と四隅に設置後マルチミストによるミスト除菌を実施して、1時間保持後の付着菌数を測定したところ、自然減衰との比較で99.9%以上の除菌効果があることが明らかになった。
これまで、マルチミストシリーズは、施設内に圧縮空気などの配管設備をあらかじめ施工するタイプ「配管型」と配管設備のない部屋でも取り付けられるタイプ「カート型」をリリース。配管型は、湿度センサーと連携した噴霧の制御や除菌後に配管内の残液を排出するなどメンテナンスを効率化した自動運転が可能で、部屋の大きさに合わせて噴霧ノズルの個数を調整することにも応じているため、さまざまな大きさの部屋に搭載可能だ。カート型は、必要な設備の全てを可搬型カートにまとめており、場所を選ばず運べる。
今回、開発したカセットミストは、従来品と同様に、次亜塩素酸容器、圧縮空気供給部(コンプレッサー)、噴霧ノズルで構成されており、あらかじめ圧縮空気の配管が設けられた部屋にも適用できる。圧縮空気アウトレットに直接接続し、タイマーによる自動運転にも対応している。
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