FMにBIMを活用する(その1)「国土交通省 建築BIM推進会議から考える」:いまさら聞けない建築関係者のためのFM入門(7)(2/3 ページ)
本連載は、「建築関係者のためのFM入門」と題し、日本ファシリティマネジメント協会 専務理事 成田一郎氏が、ファシリティマネジメントに関して多角的な視点から、建築関係者に向けてFMの現在地と未来について明らかにしていく。今回は、FMにBIMを活用するをテーマに、国交省「建築BIM推進会議」の動向から考察した。
◆建築BIM推進会議での4つの実施項目
建築BIM推進会議での主な実施項目は、主に下記のようなものである。
(1)各分野で進んでいるBIMの検討状況の情報共有
(2)建築BIMを活用した建築物の生産・維持管理プロセスやBIMのもたらす周辺環境の将来像の検討・策定
(3)その将来像を実現するための官民の役割分担・工程表(ロードマップ)の検討・策定
(4)個別課題に対応するための検討部会を設置し、建築BIM活用に向けた市場環境の整備を推進
2019年9月2日に開催された「第3回建築BIM推進会議」では、推進会議の下に5部会を設置し、建築BIMの活用を推進した。
上図のうち部会1は官民連携で、部会2〜5は民主導の既存会議などが基になっている。
部会1の建築BIM環境整備部会(志手一哉部会長:芝浦工業大学 建築学部 建築学科 教授)は、企画・設計・施工・維持管理までの標準のワークフローなどの検討を行い、2020年3月に「建築分野におけるBIMの標準ワークフローとその活用方策に関するガイドライン(第1版)」を発行した。
ガイドラインでは、業務を横断してBIMを活用する業務の進め方や契約などを具体的に示し、BIMの標準ワークフローを5つの代表的パターンに例示した。そして、一連のワークフローを8つの業務区分(S0〜S8ステージ)に分節して、建物のライフサイクルを通した情報利用の形を示した。
ここでの大きな成果は、企画・設計・施工・維持管理という流れのなかで、BIMが個別の活用にとどまっていること、特に設計・施工に特化し、企画や維持管理に積極的に利用されていないこと、さらに、意匠・構造・設備の各分野の活用状況に差があること等に注目し、これらを改め、BIMを総合的かつ建物のライフサイクルを通して活用しようというスタンスに立ったことである。
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