ドローンの安全・効率的な飛行に不可欠な“UTM”とは何か?米国UAV動向から分析:Japan Drone2020(3/3 ページ)
ドローンの商用サービスが盛んになるに従い、運航管理の必要性が高まり、世界中で開発が進められている。安全かつ適切な運航を支えるために不可欠となるドローンの運行管理システム「URM」は、言うなればドローンの世界の航空管制に当たる。Japan Drone2020の講演から、NECでネットワークプロトコル、分散アーキテクチャ、データベース、機械学習などの研究開発に従事し、2017年に設立した国際的なUTMの業界団体「GUTMA」の理事も務め、産総研AIRC、理研AIP、東大情報理工にも所属し、AIを研究している中台慎二氏が世界のUTMビジネスとアーキテクチャ、標準化の動向を解説した。
脱ガラパゴスのために、GUTMAへの参加を
現在、標準化に関してはリモートIDの統合が終了し、議題はUTMのコア機能に移っている。「飛行制約の管理」と「飛行の適合性監視」が集中的に意見交換されており、年内にまとめられるめどだ。その後に控えるのが、Negotiation(交渉)に関する議論となる。
Negotiationは、主に飛行前に干渉(衝突)を避けるために行う重要な要素の一つ。TCL4という実証プロジェクトの検証では「有効」とされているが、実際には各USSが適切に交渉動作を策定できていないのが現状だ。このため、産業界の総意によって交渉ルールやメカニズムの規定が必要とされる。
なお、NECでは、経路交渉を自動で行うシステムのテストを既に行っている。業務に関する効用を最大化するように、経路を選択・交渉するシステムで、実験ではドローンではなくAGV(無人搬送車)が使われているという。
また、中台氏がボードメンバーとして参加しているGUTMAは、とりまとめの中心人物がFOCA(スイス連邦航空局)に所属しているため、スイスでは先行して実証実験が進んでいる。
日本では、無人航空機やロボットの活用によって省エネルギー社会の実現を目指すNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「DRESSプロジェクト」が進められている。プロジェクトには、中台氏の属するNECも、進行管理統合サブシステムの開発で貢献している。
中台氏はGUTMAについて、「業界動向を集め、集い、官だけでなく業界団体も含めた政治する場」として、「脱ガラパゴスのために、日本も参加いただきたい」と要望。GUTMAに加わることで、WebinarやUTM Paper(ハイレベルビューを共有する文書)での最新情報の共有以外にも、グローバルでドローンに関連する企業や人材との情報交換が活発に行えるとメリットを強調し、講演を終えた。
中台氏は「世界のUTMの状況が分かりますので、日本からも積極的なご参加をいただければと考えております」と語り、講演を終えた。
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