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自動ラック倉庫の事業継続ニーズに応える制震構法の初適用が決定:導入事例
鹿島建設が2019年に開発した自動ラック倉庫の制震構法「Container Damper System」の初適用案件が決定した。積荷自体を制震装置として利用し、事業継続性の向上が期待される。
鹿島建設が2019年に開発した、自動ラック倉庫の事業継続(BCP)ニーズに応える制震構法「Container Damper System(CDS)」が、大阪府東大阪市の「日本バルク薬品L&Aセンター」の自動倉庫に採用されることが決定した。本プロジェクトが初の適用案件であり、事業継続性の向上が期待される。
CDSの特徴である、積荷の収容率や自動搬送機の運行などの倉庫機能に一切影響を与えず、震度6相当の大地震まで安定した効果を発揮するという点が評価され、今回の採用に至った。
CDSは、ラック内に収容される積荷自体を制震装置の一部として利用する制震構法だ。積荷を支持する部材に、同社が開発した「制震スライダー」を設置し、積荷自体をTMD(チューンド・マス・ダンパー)の錘として機能させ、効率的に地震エネルギーを吸収する仕組みとなっている。ラックメーカーを問わず、既存改修にも採用可能であり、メンテナンスも目視点検程度としている。
本物件の設計・施工は鹿島建設、延床面積は約1,500平方メートル、軒高19.34メートル、鉄骨造地上3階建とし、2021年1月完工予定だ。鹿島建設は今後も、自動ラック倉庫のBCP対策ニーズに応えるため、新築物件・既存改修物件を問わず、CDSの積極的な展開を図っていくとしている。
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