建設業“2020年上半期の市場動向”を分析する、ヒューマン総研:建設業の人材動向レポート(25)(2/2 ページ)
本連載では、ヒューマンタッチ総研が独自に調査した建設業における人材動向について、さまざまな観点で毎月レポートしている。今回は、2020年上半期の建設業における市場動向を分析するとともに、将来予測を行った。
■公共機関からの受注は堅調だが、民間からの受注が大幅に減少
将来的な売上高の先行指標となる受注高の推移についてみると、2020年1〜7月までで前年同月を下回っている。4月は対前年同月増減率1.3%減、5月は同2.0%減、6月は同8.9%減、7月は同12.6%減と、減少率は次第に大きくなってきている(図表4)。
公共からの受注と、民間からの受注別に、元請受注工事高の対前年同月増減率では、公共からの受注工事高は2〜7月まで6カ月連続で前年同月を上回っており、堅調に推移している。しかし、民間からの受注工事高は、1〜7月までの月で前年同月を下回っている(図表5)。
■まとめ
建設工事の出来高は、2020年4月が対前年同月増減率0.2%減、5月が同2.1%減、6月が同2.9%減と低下傾向ではあるが、現状ではそれほど大きな落ち込みにはなっていない。出来高の上期合計を計算すると25兆5265億円となり、対前年の増減率で0.4%減と微減にとどまっている。手持ち工事高も高水準で推移しており、当面は建設業の市場環境が大幅に悪化することはないと考えられる。
しかし、受注工事高は2020年に入ってから全ての月で前年同月割れとなっており、将来的な市場環境については不安がある。公共機関からの受注工事高は、2020年2月以降は6カ月連続で前年同月を上回っており、堅調な公共工事が建設業の市場を一定レベルで底支えすると思われるが、民間からの受注工事高は1〜7月までの月で、前年同月割れと低迷しており大きな不安要素になっている。今後、民間企業の設備投資などの動向次第では、建設業の市場環境も、大幅に悪化する危険性をはらんでいる。
著者Profile
ヒューマンタッチ総研(所長:高本和幸)
ヒューマンタッチ総研は、ヒューマンホールディングスの事業子会社で、人材紹介事業を行うヒューマンタッチが運営する建設業界に特化した人材動向/市場動向/未来予測などの調査・分析を行うシンクタンク。独自調査レポートやマンスリーレポート、建設ICTの最新ソリューションを紹介するセミナーなど、建設業界に関わるさまざまな情報発信を行っている。
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